「中国の億万長者 半数以上が移民を検討中」

日本不在中のニュースからです。中国に関する話が続きますが、考えさせられる情報が多いからに過ぎません。

胡潤研究院と中国銀行は10月29日、恒例の『中国個人資産管理白書』を発表しました。それによると、中国の1千万元以上(日本円で約1億2000万円以上)の資産保有者の14%がすでに海外に移民しているか、移民を申請中で、半数以上が移民を検討しているということです。

今年5月から9月にかけて、全国の重点都市18カ所で1千万元以上の資産を保有する層を対象にアンケート調査を行い、980通の有効回答を回収したところ、回答者の平均資産は6千万元を超え、平均年齢は42歳だったとのこと。

それによると、中国の高額資産保有層(投資可能な資産が1千万元以上の層)のうち海外に資産を保有する人は3分の1で、海外資産が投資可能資産に占める割合の平均は19%、投資先の中心は不動産とのことです。現在、海外資産を持たない高額資産保有層のうち、30%近くが今後3年の間に海外投資を行う計画があると回答。

億万長者の海外投資の主な原因は子どもの教育で、約半数が子どもの教育のために海外投資を行っていると回答し、また3分の1が海外投資は移民のためと回答したそうです。回答者のうち、14%がすでに移民しているか、移民を申請しており、46%が移民を検討中だと答えたとのこと。

回答者の60%以上が退職後は(自分の)企業を次の世代に残したいと回答し、約30%がマネジメントのプロフェッショナルに引き渡したいと回答しました。

胡潤研究院が作成した今年の中国富豪番付では、ランク入りした1千人の約4分の1は不動産から冨を得ていて、約5分の1は製造業から冨を得ていたとのこと。フォーブスの世界富豪番付に名前の挙がった1千人のうち、不動産業関係者は1割にも満たず、製造業関係者も8.5%しかいないのですから、中国はまさに不動産バブルが富裕層を牽引している段階と言えるのでしょう。*1

昨日のブログとも関連するのですが、どうも中国を見ていると、中国という国自体をより良くしようというよりは、ある程度余裕ができた層は中国から脱出しようという傾向がきわめて強いように思えてなりません。

半年ほど前に中国で、「米国政府の統計によると、中国の閣僚級官僚の子息は75%が米国永住権を保有し、孫の代にもなると、91%が米国籍を所有」と簡易ブログでつぶやかれて、当局がすぐに削除したとのことですが、この傾向は当分続くことになるのでしょうか…。

*1:「中国の億万長者 半数以上が移民を検討中」2011年10月31日 人民網日本語版 http://j.people.com.cn/94476/7631252.html http://j.people.com.cn/94476/7631254.html