2011-01-01から1年間の記事一覧

大学での授業の難しさ

2年前から放送大学で授業を担当しています。と言っても、講義はテレビで見られるわけではなく、放送大学で言うところの「面接授業」という、いわばスクーリングの8コマの集中講義です。今年の分は、もう終わりましたが、3年目だったわけです。しかし、同じ講…

中国人留学生は若年化しているのか?

12月15日の中国の人民網が、華字紙「日本新華僑報」の記事として伝えた「若年化する中国人留学生 心理ケアが急務」を読み、いささか首をかしげてしまいました。*1もちろん、戦後、中国から日本に留学生が来るようになった1978年の日中平和友好条約締結後しば…

「日本の若者は内向き」とは誰が言ったのか?

先日、この10日でしたか、フェイスブックに「内向き志向」観の定着過程を下のようにメモしたばかりだったのですが、14日の日経新聞にも同様の記事が載りました。*1 2010年3月、ハーバード大学のドルー・ファウスト学長が来日し、「ハーバードの日本人留学生が…

「留学生誘致に走るのもいいが、ちゃんと勉強できるような環境づくりが急務」

丸1か月、ブログを休んでしまいました。ぼちぼち復活します。仕事が多忙であったのと、そのために落ち着かなかったからですが、そう余裕ができたわけでもありません。この1か月の間にもこのブログに多数のアクセスがあり、本当にありがたく感じています。…

多忙につき、しばらくブログは休みますが、

フェイスブックには、いろいろ書いていますので、「堀江学」で探してください。原則としてすべて公開で書いています。

文科省、来年度5000人超の海外留学奨学金

この7日の毎日新聞の報道によると、文科省は来年度、5000人超の大学生と高校生を海外留学させることを目指し、奨学金枠の拡大などに取り組むことを決めたということです。これは、従来の5倍以上の人数で、5年後には大学・高校生各約1万人に増やす目標も掲げ…

「中国の億万長者 半数以上が移民を検討中」

日本不在中のニュースからです。中国に関する話が続きますが、考えさせられる情報が多いからに過ぎません。胡潤研究院と中国銀行は10月29日、恒例の『中国個人資産管理白書』を発表しました。それによると、中国の1千万元以上(日本円で約1億2000万円以上)…

「米国の中学・高校に留学する中国人学生、5年で100倍」

ベトナムから一昨日帰国し、その日のうちにセミナーがあったり、昨日も仕事でバタバタしていてブログへの復帰が遅れました。ベトナムでの成果は、折に触れて記していきます。11月1日の人民網日本語版によると中国から米国の中学・高校に留学する人の数が、こ…

のんびり、ゆっくり、でも、間に合っているような……。

このブログを丸10日休んでしまいました。何かあったのかとのお問い合わせを何人かからいただきました。ご心配をおかけしてしまい、済みません。いえ、元気ですし、とくに何もありません。たぶん、精神的に、ちょっとアクティブではなかっただけか思います。…

情報が多すぎるとき

情報が少ないときは、情報がないと不満を持つものですが、ぎゃくに情報が多すぎるときには、人はあまり不満を持たないもののようです。しかし、多すぎると、その情報の海、あるいは、洪水の中で、本当に大切で必要な情報を見逃してしまったり、見失ってしま…

「100年先のことを考えるなら人を育てよ」

中国の戦国から漢の時代に『管子』*1は成立したといいますから、今から2千数百年前の書物です。その中に記されたこととしては、「倉廩實、則知禮節。衣食足、則知榮辱」などが有名ですが、また、「一年之計、莫如樹穀。十年之計、莫如樹木。終身之計、莫如樹…

外国人1万人、航空券無料で日本に招待も悪くはないかも知れないけれど……。

10月10日の読売新聞の報道によると、観光庁は、震災後に激減している外国人観光客の回復を狙って、2012年度に全世界から、旅費無料で1万人の一般観光客を日本に招待する方針を固めたということです。主にインターネットで募集し、応募者の旅行計画などが審査…

「冬ソナ」「チャングム」に負ける 多国籍化進む韓国の韓国語教育機関

韓国の聯合ニュースが10月7日に伝えたところでは、従来、中国からの留学生が圧倒的に多かった韓国の韓国語教育機関では、このことろ多国籍化が進んでいるとのことです。もちろん、この背景には、中国からの留学生が相対的に減っているということもあるかと考…

2012年度中国政府派遣留学生 1万6000人に拡大へ

10月7日の新華網によると、中国は来年の「国家公費留学生」派遣規模を今年の1万3000人から1万6000人に拡大し、また、優秀本科生の海外交流事業を立ち上げて試行するとのことです。いわゆる「中国政府派遣留学生」を3000人増やすという意味です。その報道によ…

インド人は日本に留学するか?

インド人の留学先としては、その数、10万人を超えて中国人留学生についで多数を占める米国、旧宗主国の英国、一昨年のカレー・バッシングと豪ドル高のせいで、昨年来、数が下向いている豪州などの英語圏への留学が圧倒的に多いわけですが、このところ、英語…

「カタリスト」の役割、再び

カタリスト=catalyst(触媒)とは、もともとは化学用語で、「それ自体は変化しないけれど、他の物質の化学反応の仲立ちとなり、反応の速度を速めたり遅らせたりするもの」のことを指します。身近で分かりやすいものの例としては、酵素を触媒として糖からア…

留学生採用予定企業3〜4割 マイナビ調査

この5日に(株)マイナビ(旧(株)毎日コミュニケーションズ)が発表した企業の留学生の採用方針の調査結果によると、2012年度に留学生採用を予定(または検討)する企業は3〜4割であることが分かりました。2012年卒採用で留学生を「採用した(する予定)」…

欧米的な経済統計に表れないもの

去る9月6日に大和総研のホームページに「お金の使い道からみたASEAN主要国の違い」という統計資料が出ました。*1これはこれで、データを子細に見ると、たへんに興味深いものですし、こうした統計数字の存在の意義を決して否定するものではありません。ただ、…

「イオン・スカラシップ」とアジア戦略の展開

イオン・グループには「1%クラブ」という1989年から継続している活動があります。これは、イオン・グループ各社が拠出した税引前利益の1%を使って、「環境保全」「国際的な文化・人材交流、人材育成」「地域の文化・社会の振興」などのさまざまな活動をす…

中国人留学生の米から加・豪へのシフトは起こるのか?

英ブリティッシュ・カウンシルの最近のレポート"Students in Motion"*1で予測しているように、2015年までに、本当に中国から英語圏への留学のトレンドは大きく変わるのでしょうか。"Students in Motion"は高価なため、個人的には一般にあまり読まれないので…

日本人留学生に海外で日本語や文化を教えさせる?!

去る9月29日の読売新聞によれば、文科省は、アジアを中心とした海外の大学に留学する日本人学生に、現地の学校や企業で日本語や文化を広める指導役を担わせる制度を新設する方針を固めたとのことです。*1各国で「知日派」となってくれるような人材を育成する…

奨学金支給の意味を勘違いしていないか?

先週、奨学金団体の連携について触れましたが、そもそも奨学金を何のために出すのか、という基本的理念が、じつは必ずしも明確ではない気がします。「奨学金」とひとくちに言いますが、留学生に出ている奨学金には、日本政府(文科省)奨学金*1やJASSOの私費…

後継者育成と世代交代

組織で仕事をする場合、後継者の育成についてはどこでもかなり頭の痛い問題であるような気がします。一般的に言えば、40代が最も仕事が出来る年代であると言えますが、もちろん、30代でも50代でも、あるいは、60代、70代で優れた仕事をする人もいます。また…

「お試し留学」 150名様、無料ご招待

去る9月21日に日本経済新聞だけが伝えたニュースです。*1震災後の外国人留学生の日本離れを食い止めようと、文科省は外国人学生を無料で2週間、日本へ招待する「お試し留学」を始めることを決めました。防災や復興の過程を研修で学ぶほか、被災地を訪れて住…

中国と日本の国際教育交流政策の実施のスピードの差

今日の中国国際放送のウェブ版によると、中国の劉延東国務委員は昨日、「中国は絶えず民間教育の国際交流と協力を深め、外交政策の大局に立って教育改革の促進に取り組む」と北京で強調したとのことです。また、「ここ30年、民間教育を巡る国際交流は中国の…

「日本の若者はよく分からない」のか?

富山に留学中のある中国人女子学生がそのブログに、「日本の若者は、よく分からない」と書いています。*1留学生活で接する日本人学生などについての戸惑いをつづっています。 日本に留学して1年が過ぎ、仲の良い友だちは何人かできたけれど、親友と呼べる人…

留学生奨学団体の連携も必要だ。

日本には海外からの留学生のための奨学金が少ないと、よく言われてきました。他の留学生受け入れ先進諸国との比較は別の機会に譲るとして、日本の現状はどうなのでしょう。JASSOの「平成21年度私費外国人留学生生活実態調査概要」*1によると、私費留学生で何…

ベトナムの日本語学習者たち

丸10日間、ブログを休載してしまいました。今回は、ホーチミン、ニャチャン、ハノイとベトナムを北上し、大学関係の方々や元日本留学生たちにお目にかかったり、途中、ニャチャンでノンビリしたりでしたが、最終日にハノイでハノイ大学の日本語専攻の3人の学…

労働力人口が減るから外国人労働力を入れるという単純な思考で適切なのか?

先日、大学のゼミで留学生と地域の交流をテーマに取り上げるという3人の学生グループの訪問を受けました。さまざまな交流や支援のあり方を探りながら、その大学がある市当局にも提案をしていきたいと意欲的に語ってくれた学生たちは、たいへんに真面目に考え…

「クール・ジャパン」の応用問題−2900億円産業をさらに育てるには−4/4

そろそろ、「クールジャパン」構想に沿った留学生の受け入れの話のシリーズは、一旦終わりとしたいので、今回は、まだ論じていない部分を取り上げます。ひとつは、国際交流を担う教職員の質の維持向上についてです。1970年代後半に私が初めて米国のNAFSA*1の…