「冬ソナ」「チャングム」に負ける 多国籍化進む韓国の韓国語教育機関

韓国の聯合ニュースが10月7日に伝えたところでは、従来、中国からの留学生が圧倒的に多かった韓国の韓国語教育機関では、このことろ多国籍化が進んでいるとのことです。もちろん、この背景には、中国からの留学生が相対的に減っているということもあるかと考えますが、それを挽回しようとしている力強さを韓国の文化政策に感じます。

このブログでも何回も触れているように、韓国の対外文化広報戦略は功を奏し、「冬のソナタ」や「チャングムの誓い」を始めとする韓流ドラマは、アジアだけではなく他の地域にも受け入れられ始め、K-POPも人気だということの一つの具体的な効果が、こうした韓国語学習者の多国籍化に表れていることは確かです。

聯合ニュースは、その多国籍化の例を次のように伝えています。

啓明大学の場合、2004年に韓国語学堂を新設した当時、学生218人のうち91.2%の199人が中国人で、国籍は10カ国にすぎなかった。これは専攻科目を勉強するため、短期間で韓国語を学習する留学生を除き、純粋に韓国語だけを学ぶため、来韓した学生を集計した数。
 今年初め、同大学韓国語学堂の学生184人のうち、中国人は42.3%(78人)に減り、国籍は日本や米国、ドイツ、英国、オーストラリアなどの先進国をはじめ、イラン、ルワンダボリビア、ペルーなど44カ国に増えた。
 2002年から韓国語研修課程を開始した大邱大学も初年度の学生47人は中国人が91.4%で、日本人3人、台湾人1人にすぎなかった。今年は52人のうち、中国人は13.4%に急減し、国籍はカナダなど10カ国に増加した。
 2006年に韓国語課程を始めた慶北大学は初年度は学生16人全員が中国人だったが、現在は学生数187人に、国籍は13カ国に増えている。
 2000年代初めに開設した竜仁大学国際交流教育センター韓国語学堂は昨年まで、韓国語講座を1学期で16週、年間では2学期・32週課程で運営したが、韓流ブームなどの影響で需要が伸び、今年からは年間4学期40週課程に改編した。1学期の定員は75人。今年に入り164人の外国人が韓国語を勉強し、昨年1年間の学生数87人を上回っている。
 韓国語講座を運営している全南大学は2006年の開設当時は85%以上が中国人だったが、現在は中国人は70%程度で、日本、モンゴル、ベトナムからの学生が増えている。

また、韓流ドラマを教材に使った釜山外国語大学韓国語教育院は外国人学生から好評を得たとのことです。さらに、培材大学の金永浩総長は「韓流ブームの体系的な普及・拡大のためにも、韓国語と文化を専門的に教える人材を養成するとともに、優れた教材開発に取り組む必要がある」と指摘したとのこと。

ここでも、たびたび嘆いているのですが、こうした総合的な文化戦略は、省庁縦割りのままでは、到底不可能と言えます。遅くなりすぎないうちに何とか窓口を統一しなければ、日本の対外文化戦略も日本語教育も、力を持ち得ないに違いありません。 *1

*1:韓国語教育機関に変化 留学生の多国籍化進む(2011年10月7日16時40分配信 聯合ニュース)http://www.wowkorea.jp/news/Korea/2011/1007/10089350.html