2012年度中国政府派遣留学生 1万6000人に拡大へ

10月7日の新華網によると、中国は来年の「国家公費留学生」派遣規模を今年の1万3000人から1万6000人に拡大し、また、優秀本科生の海外交流事業を立ち上げて試行するとのことです。いわゆる「中国政府派遣留学生」を3000人増やすという意味です。その報道によると概要は次のとおりです。

2011年度の公費留学生派遣は選抜方法を刷新して整備し、国のハイレベル大学公費大学院生派遣事業をこれまでの60校に限られていたものから全国の各大学と各界から博士号取得を目指す大学院生を選抜するものに改め、それには在外の優秀自費留学生の競争選抜参加を認める実験が含まれている。同時に客員学者事業の留学資格の有効期間をこれまでの2年から1年に見直し、派遣期間を短縮する。世界の有名大学・研究機関との奨学金共同設立を引き続き進め、博士課程専攻学生を最も優れた学生から選抜する。若手中堅教師の海外研修などの事業について研究事業と研究課題に基づく新たな選抜方法を重点的に実施し、団体の形の海外派遣を重点的に支援する。

つまり、従来は60校の重点大学に限られていた成績優秀な大学院生の派遣の対象校を全国的に広げ、また、すでに海外留学中の学生もその対象にする試行を始めるということです。さらに、学位取得を目的としない人の公費での留学期間を2年から1年に短縮し、海外の大学や研究機関からも奨学金に出資させ、博士号取得を目指す学生に重点化するいっぽう、若手・中堅の教員の団体での派遣も行う予定のようです。

今年は、2007年から始まった中国政府の「ハイレベル大学公費大学院生派遣」第1期事業の最終年で、新規事業は2012〜2016年までの5か年間で、計画では派遣規模を第1期の年間5000人から1000人増員して6000人にし、そのうち博士課程を目指す学生を毎年3500人、博士課程の大学院生を毎年2500人、それぞれ育成するということです。

2012年には「優秀本科生海外交流事業」を立ち上げて試行するとのこと。

これは主に「985工程」(レベルの高い一流大学の育成事業)、「211工程」(21世紀までに100前後の大学のレベルを上げる事業)の大学を対象にしたもので、本科2年生以上の優秀な学生を選抜し、海外のハイレベルの大学・研究機関に3〜12か月間、学習、卒業設計、実習などに派遣する。国の優秀自費留学生奨学金事業の奨学金の額をこれまでの5000ドルから6000ドルに引き上げ、支給規模を500人にし、自費留学生が集中している29か国で実施する。特別優秀トップ学生については「特等賞」を設け、1人に1万ドルを支給する。

従来も、もちろん、成績優秀と認められないと政府派遣留学生に選ばれる確率は低かったことでしょうが、今後、ますます優秀な学生のためのエリート養成の傾向が強まるということをこれは意味します。しかし、1万3000人の政府派遣留学生を一挙に3000人増やせるとは、やはりトップ・ダウンの力が強い中国ならではのことです。

その海外留学組が、世界の大学の実情や学問研究の国際標準を中国に持って帰って中国内にも広めてくれることを切に望みます。*1

*1:中国の来年度国家公費留学生派遣1.6万人に拡大 (2011-10-07 13:36:16 新華網) http://jp.xinhuanet.com/2011-10/07/c_131177603.htm