2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

今日も新しい「岡倉天心」

恥ずかしいことだが、われわれの近隣諸国に関する印象は、大部分、ヨーロッパを出所にしているので、実際に歪曲の意図がなくても、おのずからヨーロッパ人の解釈によって潤色されている。外交官の恐るべき作り話、宣教師の胸も裂けんばかりの手管(てくだ)、…

「スタディー・ツーリズム」は、どうだろうか?

一昨日、このブログの最後の部分に書いたことにいくつかの反応をいただいたので、もう少し、説明しましょう。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、3.11の後、今年4月の海外から日本への訪問者は、昨年同月比で、62.5%減の29万6千人に。5月には、同50.4%減の…

研修生の問題は留学生の問題にも共通かも知れない。

ベトナムからの日本への研修生は、年間3万人以上に上ると言われます。*1今、問題とされてることは研修の末期になると逃亡する研修生が目立ち、海外からの研修生14か国中、ベトナムは中国に次いで2番目に多いのですが、その人数をさらに増やせるかどうかは、…

短期の「留学」に支援が始まった。

従来、日本の文科省では3か月以上の留学を「留学」として扱っていました。海外留学を例に取ればはっきりしますが、3か月以上を「留学」として数え、3か月未満は「短期海外研修旅行」などと呼んできました。海外から日本への留学も、これに倣っていたわけ…

「活気ある社会づくりと日本語教育」

今日、一橋大学の兼松講堂で標記のタイトルの日本語教育学会の公開シンポジウムが開催され、出席してきました。*1500名以上の参加者を見て、シンポは盛況でした。基調講演として、平田オリザさんの「コミュニケーション力と日本語教育」。さすが、話が上手な…

海外の日本語教育の貧困をどうするか

言語に難易の違いはない 日本語は世界の言語の中でも習得が難しいなどとという神話を今も信じている人も、中には、いるのかも知れませんが、言語自体には難しい、易しいはないと私は考えています。なぜなら、一般に言語は意思などを伝達する手段であり、その…

「ジャカルタ・アロハ事件」

先月、「クール・ビズ」について書いたら*1、要望もあったので、業界の一部に有名な、「ジャカルタ・アロハ事件」という出来事について記しておきます。じつは、このエピソードは、すでに5〜6回、あちこちに書き、原稿料までいただいたこともあるので、かいつ…

アジア文化会館を知っていますか?

東京の文京区本駒込に「アジア文化会館」があります。改修されて以前の古色蒼然とした由緒あり気な建物は、多少とも明るい雰囲気になりましたが、建物自体が建てられたのは1960年ですから、すでに51年の歴史があります。(財)アジア学生文化協会が管理運営し…

ズタズタをつなぐ

どうも、すべてがズタズタのような気がしています。政治ですか? それもあります。官庁ですか? それもあります。社会ですか? それもあります。私がいちばん気にしているのは、もちろん、国際教育交流です。本来すべてがうまく連携出来れば、かなり効率良く…

日本語学校の風評被害をどう補償できるか

ただでも「2011年問題」で日本語学校への留学生数が減るとの予測が昨年から出ていたのに加えて、3.11の震災と原発事故の影響で、日本語学校への留学生数が激減し、この秋の入学見込みは昨年比7割減との数字も出ています。地震と津波については補償は難しいに…

日本の総合力を

プロパガンダを掲げるわけではありません。アジるつもりもありません。海外から見ると、日本の国際教育交流は、良い面をたくさん持ちながらも、どう冷静に考えても、それを有効に活用しているとは思えないのです。例えば、この土日にベトナムで開催された「…

「留学フェア」の ヒ・ミ・ツ (^_-)

日本の団体では、今から22年前に(財)日本国際教育協会の留学情報センターが「日本留学フェア」を開始し、私も何度も立ち会うことになりました。この種の海外での教育展は、もちろん、欧米などの留学先進国がアジア、中東等で開催し始めたのは、それよりもか…

ベトナムのテレビ出演初体験

今晩、ベトナムの国営テレビ、VTVのチャンネル2という教育テレビの番組を収録しました。日本とタイとでは、数回、テレビに出てきましたが、ベトナムでは初めての体験でした。全体では90分の番組で、60分はベトナム国内の進学について、あとの30分は、海外留…

やはり、おかしい、日本の文化戦略

今日、ハノイに来ました。このブログに何度も書いているので、書くほうもウンザリなのですが、海外に来てホテルの部屋で日本の国際放送を見ると腹が立つくらいです。英語国向けならともかく、アジアでも英語の放送を1日24時間、同じ番組を4時間毎に6回流して…

渡日前奨学金ノススメ − ロータリー米山記念奨学金

海外から日本の大学などで学ぶ留学生の奨学金を見ると、日本政府(文科省)奨学金などの公的奨学金を除くと、民間の奨学金では、日本に来る前に奨学金をもらえることが決まるものは、近年、多少なりとも増えてきた感じでしょうか。JASSOの資料を見ると、いずれ…

日本の国際教育交流≪産業≫のぜい弱さを克服するには-2

いわゆる「国際交流」がお飾りに過ぎないのではないか、という話を昨日、書きました。なかには異論を唱える人もいるだろうことは承知の上です。つまり、地道に海外の人たちや地域の外国人との交流に取り組んでいる人たちも少なくないことを私も知っているか…

日本の国際教育交流≪産業≫のぜい弱さを克服するには-1

一部の人たちの神経を逆なでする恐れのある表現を標題に2つ含めてしまいました。まず、教育を「産業」呼ばわりするとは何ごとか、と保守的な人たちからはお叱りを受けそうです。つぎに、日本の国際教育交流が、なぜ「ぜい弱」なのか、と反発を覚悟しなけれ…

EPAと留学生受け入れとは、違うように見えるかも知れないけれど

日本は、この9年ほどの間に遅まきながら経済協力協定(EPA=Economic Partnership Agreement)を諸外国との間で結び始めました。ご承知のように、これは由貿易協定(FTA)により関税の撤廃など、通商上の障壁の除去をした後、2国間での経済取引の円滑化、経済制…

教育分野での「国際競争力」を高めるためにも日本語教育は重要

日本経済が元気だったころ、日本は海外の資産を買いあさり、日本人とはたいへんに傲慢な人たちだという印象を残したのかも知れません。でも、経済面で見れば、それは国際競争力があったということにもなります。ただし、その期間があまりにも短かったことは…

日本語教育と世界の言語教育の基準はどうなっているのか

(財)日本語教育振興協会の日本語学校の審査・証明事業が昨年5月の事業仕分けで「廃止」とされ、たまたま震災と原発事故が起きたための一時的留学生減は別としても、中長期的に見れば、今後、日本語学校の新設の認定は、いったい、どうなってしまうのだろうと…

受け入れることは、自らも変わること

韓国では、同国統計庁のデータで2009年の国際結婚率が10組に1組を超えるのですが、ベトナムなどからの外国人花嫁が自ら死を選んだり、殺されたりといったニュースが後を絶ちません。韓国マスコミは、そのたびに大きく報じていますが、受け入れ環境についても…

「自己実現」と「身近な人との結びつき」−幸せのかたちの違いと国際教育交流のあり方

去る6月2日のNHKクローズアップ現代「幸せのモノサシ〜指標づくりの模索〜」*1で、各国で国民の幸福度を測る新しい指標づくりが進んでいて、日本でも内閣府で「幸福度に関する研究会」が開かれている*2との報道がありました。果たして役所主導で幸福度の指標…

韓国の対外広報戦略の成功

韓国の留学生リクルートの対外広報はたいへんに成功しているように思えます。そうですね、「韓流ブーム」も、それに大きくあずかっているようです。日本では「韓流ブーム」は、当初、「冬のソナタ」以降、多くは中年女性に支えられていましたが、この数年、…

「留学」の範囲

ここで、「留学」について大上段に振りかぶるわけではありません。日本で、「留学」と呼ばれる、あるいは、「留学」という行為に分類される範囲が、必ずしも明確ではないし、国際的にも基準があるわけではないという話です。留学生受け入れに関わったことが…

ランキング好き

巷間、いろいろなランキングがあります。ヒットソングのランキングが気になる音楽好きもいるでしょうし、レストランのランキングが気になる私のような食いしん坊もいることでしょう。しかし、歌なら、その歌手本人や所属プロダクション関係者などを除けば、…

留学生、戻る

今日の文科省のプレス発表によると、大学・専修学校に在籍中の外国人留学生のうち、通学圏内にいることが確認できる留学生数について5月20日現在で抽出調査したところ、1か月前よりはかなり戻ってきていることがはっきりしました。大学では、前回の4月20日現…

ASEAN親善キャラバン、被災地へ

ASEANのスリン・ピッツワン事務局長と、2004年のスマトラ沖地震・津波の被災者、ASEAN各国のアーティスト、日本で学ぶ各国の留学生など約70人が「ASEAN親善キャラバン」として、今日2日から5日まで、震災の被災地を訪れてボランティア活動や演奏を行います。金…

専門学校卒の留学生にも就労許可 今月下旬にも施行へ

去る5月3日にこのブログでご紹介したように、専門学校卒業生にも在留資格を与え、就労出来るように学歴要件を緩和する方針を固めたことが5月30日に報じられました。*1近く省令を改正し、今月6月下旬にも施行する手はずです。従来は、外国人が技術、教育、国…

「“多文化主義”とは“同化主義”に過ぎなかった」

久しぶりに「良心」の声に接した気分になりました。韓国ハンギョレ新聞掲載のユネスコ生涯学習研究所 カロリン・メデル・アニョヌエボ(Carolyn Medel-Añonuevo)副所長のインタビュー記事です。「多文化主義(multiculturalism)」が言われて久しいのですが、独英…