韓国の対外広報戦略の成功

韓国の留学生リクルートの対外広報はたいへんに成功しているように思えます。そうですね、「韓流ブーム」も、それに大きくあずかっているようです。

日本では「韓流ブーム」は、当初、「冬のソナタ」以降、多くは中年女性に支えられていましたが、この数年、「東方神起」始めK-POPなどの力で若い女性にも広がりました。東京では新大久保付近のいわゆるコリアン・タウンでも、「韓流ショップ」の客層がかなり若返っていますし、「KARA」や「少女時代」で若い日本人男性層の心もつかんでしまいました。日本とは異なり、中国の「韓流」は最初から若い世代に支えられているのだそうです。

中国に限らず、ベトナムなど東南アジアでも、サムソンなどの韓国製の大型液晶テレビをつければ、必ず韓流ドラマが現地語で流れています。24時間を6分割して繰り返し同じ退屈な番組を英語か日本語で流している日本の国際放送テレビとは大違いなのです。

韓国の対外広報戦略は、ソフトパワーを有効に使っている成功例と言えるでしょう。「韓流ブーム」は、例えば日本でも、それまで一部に根強くあった偏見や先入観を相当程度払拭したと言えるのではないでしょうか。

韓国の留学生受け入れ数は、韓国教育科学技術部によれば、次のとおり目覚ましい伸びを示しています。

 2004年 1万6832人
 2005年 2万2526人
 2006年 3万2557人
 2007年 4万9270人
 2008年  ---
 2009年 6万3952人
 2010年 7万5850人
 (各年4月1日現在)

ただ、韓国でも日本でと同様、2010年の場合、留学生の92.4%がアジア出身で、全体の70.5%の5万3462人は中国からの留学生が占めています。

韓国政府は、その理由として、地理的近さや比較的安い留学費用を挙げています。さらに留学生の出身国・地域の多様化を図るためには、出身文化の違いに配慮する大学の努力が必要だと言っていますが、これについては、いずこもなかなか難しいことかも知れません。

中韓関係で日韓関係とは若干違う点は、中国には約200万人の朝鮮族がいますから、言語的にも文化的にも共通、もしくは、極めて近いので、韓国に留学しやすい素地を持つ人たちが多くいるとも言えるわけです。

外国人留学生の増加続く、7割が中国出身(2010/06/20 聯合ニュースhttp://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2010/06/20/0200000000AJP20100620000700882.HTML