短期の「留学」に支援が始まった。

従来、日本の文科省では3か月以上の留学を「留学」として扱っていました。

海外留学を例に取ればはっきりしますが、3か月以上を「留学」として数え、3か月未満は「短期海外研修旅行」などと呼んできました。

海外から日本への留学も、これに倣っていたわけですが、3か月未満だと1学期間に満たないため、単位も出ないから、というのが、その理由だったのかと思います。

ところが、実態を調べてみると、2009年度の場合、大学院レベルに2週間未満184人、2週間以上1か月未満134人、1か月以上3か月未満156人が海外から勉学や研究に来ていのです。同じく学部レベルで、それぞれ、772人、1,063人、513人が、短大レベルに、76人、32人、0人、レベルを判断できない人が、それぞれ、119人、438人、265人でした。*1

こうなって来ると、3か月以上を留学と呼ぶ、などと言ってもいられなくなり、実態に合わせて奨学金も出そうということになったのが、今年度から始まった。「留学生交流支援制度(ショートステイショートビジット)」の制度です。*2

以前は、海外留学と言えば、それこそ水杯でも交わして出発するような人生の一大事でしたが、今や、気軽に「ちょっと行ってきます」というケースも増えているわけですから、こうした留学の多様化もさらに進んでもいいのではないでしょうか。

日本への受け入れだけを考えても、本格的に学位を取得しようという留学も増えていいですし、それに加えて、いわば「お試しコース」で日本を短期間体験して、さらに日本に興味・関心を持ってもらうというプログラムも意味は大いにあるはずです。

加えて、3.11以降の海外からの留学生と旅行者減の対策としても、日本語をインテンシブに習得して、その後、日本を旅行したり、日本人家庭にホームステイしたりといったプログラムも拡大して続ければ、日本ファンも世界に増え、日本のソフトパワーを強化できると考えるのですが、どんなものでしょう。

これには、文科省だけでなく観光庁からの支援も必要ですかね……。

*1:「平成21年度短期教育プログラムによる外国人学生受入れ状況調査結果(試行)http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data10_p.html

*2:「留学生交流支援制度(ショートステイショートビジット)」http://www.jasso.go.jp/scholarship/sssv.html