「活気ある社会づくりと日本語教育」

今日、一橋大学の兼松講堂で標記のタイトルの日本語教育学会の公開シンポジウムが開催され、出席してきました。*1

500名以上の参加者を見て、シンポは盛況でした。基調講演として、平田オリザさんの「コミュニケーション力と日本語教育」。

さすが、話が上手な講演者で、「話し言葉」と一口に言っても、その範囲は「演説」「スピーチ」「教授」「対論」「対話」「会話」に分類できる。それらの中でも「対話」の教育が大切だ、といった講演には説得力がありました。

日本経団連の企業へのアンケート結果を引いて、日本企業が採用したい社員に求める能力として、今日では「コミュニケーション力」が圧倒的に多く、語学力などは、ほとんど問題にされていないことが報告されました。

示唆に富んだ話題が豊富な人なので、50分の講演時間が短かすぎるように感じました。

また、パネル・ディスカッションは、それぞれの分野での専門家が話したのですが、話の方向性が広がり過ぎ、ディスカッションとしてまとめるのに司会者は苦労していたように感じました。

最後に、前文科副大臣中川正春さん、衆議院文教科学委員会理事の馳浩さんの話で、日本語教育政策についての議論でしたが、惜しむらくは雄弁なお二人が、日本語教育が海外と国内に分断されているという年来の課題については直接は議論しなかったことです。質問の時間もなく、ややフラストレーションがたまりました。

しかし、日本語教育学会も、こうしたチャレンジングなシンポを引き続き開催していってほしいと思います。