奨学金支給の意味を勘違いしていないか?

先週、奨学金団体の連携について触れましたが、そもそも奨学金を何のために出すのか、という基本的理念が、じつは必ずしも明確ではない気がします。

奨学金」とひとくちに言いますが、留学生に出ている奨学金には、日本政府(文科省奨学金*1やJASSOの私費外国人留学生学習奨励費*2といった大規模な奨学金もありますし、さまざまな規模の民間団体の奨学金もあります。

日本人学生に出ているJASSOの「奨学金*3は貸与ですから、実際には「教育ローン」であって、その中に無利子と有利子があり、どちらも原則として返済の義務があります。留学生を対象には、国連大学が教育ローンを多少実施していますが、ここでは貸与については考えないことにします。

留学生のための奨学金団体でも、以前は生活困窮者に生活費補てんをするような考えで奨学金を出していたところもありますし、今でも、その基本理念には多少ともブレがあるように思えます。

したがって、採用面接のときに、収入や生活費などにつき、微に入り細を穿って留学生に尋ねる面接者もいます。

しかし、奨学金とは、あくまでも、成績が良く、かつ、やる気のある学生が、勉学を少しでも余裕のある気持ちで進めていくための支援策だと考えないと、本来の趣旨を逸脱することになりかねません。

将来、必ず成長して留学の成果を生かしてくれる可能性がなければ、支援する意味はあまりないのです。

そして、それは、一義的にはその留学生の留学の成功、そして人生の成功を目指して支給するものであり、次には、それによって日本とネットワークの構築を支えられれば理想的であり、しいては、日本をよく理解する有能な人たちが世界に育っていけば、日本にとっても安全保障となるわけです。

留学生のための奨学金は、生活困窮者のための支援金ではないということを、もう一度、確認しましょう。