後継者育成と世代交代

組織で仕事をする場合、後継者の育成についてはどこでもかなり頭の痛い問題であるような気がします。

一般的に言えば、40代が最も仕事が出来る年代であると言えますが、もちろん、30代でも50代でも、あるいは、60代、70代で優れた仕事をする人もいます。また、分野によっても異なるようで、数学や理系の仕事では、20代の業績が後に評価されることも少なくありません。文系や芸術分野の人は、何歳になっても成長しつつ素晴らしい業績を残す人もいます。

では、国際教育交流の分野ではどうでしょう。

この分野で仕事をする人は、普通は、大学などの教育機関に所属する教職員であったりすることが多いのですが、そうすると、どうしても人事異動や委員等の任期によって世代交代していく運命にありますし、定年があります。

また、民間の財団等の団体でもたいていは、同様に異動があったり、例えば企業が親会社となっている奨学財団では、親会社からの出向で数年をこの分野の仕事に携わり、また本社に戻っていく、というケースが多いことは事実です。

以上を見るとお分かりのように、この国では、専門家が育つ余地というものがきわめて少ししかないのです。

となると、後継者の育成はほとんど不可能に近いようにも思えますし、事実、そのとおりである場合もたいへん多いと感じています。

他の国の事情は日本とは異なり、例えば米国の大学の国際交流担当者たちは、同一組織内で昇任していくのではなく、同じ業界内で他の大学の国際交流部署屋民間組織に移っていくことも多く、業界のネットワークは緊密です。NAFSAには、こうした求人・求職を紹介し、マッチングする機能があります。もちろん、日本と比べて、マーケットとして非常に大きいことが幸いしています。

日本でも、この分野で30年も前から後継者育成について、あるいはスペシャリスト養成について、一部の人たちはたいへんに熱意を持って関わって来ているのですが、あまりはかばかしい効果が上がっていないことも事実でしょう。

大組織でも中小の組織でも、このことをどう改善していくか、諦めずに工夫するべきなのです。