「お試し留学」 150名様、無料ご招待

去る9月21日に日本経済新聞だけが伝えたニュースです。*1

震災後の外国人留学生の日本離れを食い止めようと、文科省は外国人学生を無料で2週間、日本へ招待する「お試し留学」を始めることを決めました。

防災や復興の過程を研修で学ぶほか、被災地を訪れて住民と交流し、帰国後は日本の現状を説明する役割を担ってもらい、震災後の復興した日本を印象づけ、留学への不安解消につなげるということです。

「ジャパン・スタディー・プログラム」という事業名で、来年度か再来年度に日本への留学を検討している150人を無料で招待する計画です。中国、韓国、欧州、中東などに交換留学の提携校を持つ日本の大学を窓口にして参加者を募り、旅費などは文科省が負担し、今年度第3次補正予算案に1億円程度を計上する方針。すでに文部科学部会で、関係議員に対し政策説明を行っているとのことです。

来日は来年1〜2月を予定。まず東京で研修会を開き、日本人学生と一緒に日本の防災の取り組みや復興計画を学ぶ。講師は大学教員や被災地の自治体職員、民間人らが務める。「日本の現状について安全性などをいたずらに誇張せず、ありのままに伝える」ねらいとのことで、また、日本のポップ・カルチャーなど文化に触れるイベントも行うそうです。

津波で被害を受けた宮城県岩手県も訪問し、現地の大学を視察したり、自治体や農漁協、NPOで復興に取り組む人と意見交換したりするということです。文科省は、「防災や、人と人のきずなの大切さなど震災後の日本だからこそ学べることがある。日本留学に意義があると再認識してほしい」とのこと。

帰国後は情報発信役になってもらい、現地の留学説明会やブログなどで日本の現状を伝えられるように支援する計画。

ここまで読むと、じつは、6月29日にこのブログに書いた「スタディー・ツーリズム」*2の企画を文科省のみのバージョンにした事業だとお気づきかと思います。提案を一部採用していただいたのはうれしいですが、日本語学校観光庁の分がどこかに消えてしまっていますね……。大学に丸投げですし、それに、補助を出して参加者の負担を軽減するのではなく、無料になっています。参加者のモチベーションとして、無料ご招待はどうなのでしょうかね。

補正予算というと、過去には、しばしば一過性の「お祭り」に終わってしまう事業が多い傾向があったため、この事業を、今後、中長期的に日本留学をどう再生させることにつなげられるのかといった、戦略性も課題であるという意見も関係者の間では出ているようです。

ぜひ、せめて数年は続く有効な事業に出来れば有り難いと思う次第です。

*1:お試し留学で日本離れ解消 文科省、外国人150人無料招待(日本経済新聞 2011/9/21 23:39)http://www.nikkei.com/news/article/g=96958A9C93819695E0E3E2E7E78DE0E3E2EBE0E2E3E39180EAE2E2E2?n_cid=DSANY001

*2:スタディー・ツーリズム」は、どうだろうか? http://d.hatena.ne.jp/keishu48/20110629/1309329847