「100年先のことを考えるなら人を育てよ」

中国の戦国から漢の時代に『管子』*1は成立したといいますから、今から2千数百年前の書物です。

その中に記されたこととしては、「倉廩實、則知禮節。衣食足、則知榮辱」などが有名ですが、また、「一年之計、莫如樹穀。十年之計、莫如樹木。終身之計、莫如樹人」も古来から多くの人たちに引用されてきた言葉です。

 1年先のことを考えるなら種を播け。
 10年先のことを考えるなら木を植えよ。
 100年先のことを考えるなら人を育てよ。

といった意味でしょう。

ベトナムでもホーチミンが、これを引用して教育の大切さを説いていて広く知られているため、ベトナムではこれをホーチミン自身の言葉だと思っている人も多いようです。

なぜ急に、こんな話題になったのかというと、今年4月下旬にハノイに行ったときに、たまたま、「ハノイ・ソフトウェア・テクノロジー・パーク」というITの総合研究・生産施設の地鎮祭に誘われて出席した話をここに書きましたが*2、なんとその中の学校づくりに加わることとなったのです。

そこは、HANEL("Hanoi Electronics"から来ている社名でしょうか。)という政府系のIT企業のいわゆるハイテク・パークが2014年完成を目標に建設されつつあるのですが、敷地は43.45ヘクタールという広大な敷地です。

敷地内には、国際的アウトソーシングと研究開発地区、ITとビジネス・プロセスのアウトソーシング地区、ホテル・ビジネスセンター、専門家と技術者のためのコンドミニアム、レストラン・公園・スポーツセンターがあり、そこで生活が完結するように設計されています。そして、その一角に専門学校もつくるのです。*3

当初は、IT系の大学をつくる計画だったようですが、ベトナムの現状を考えて、取りあえずは、専門学校レベルの中堅技術者を養成する必要があるとのアドバイスを受け入れ、最初は専門学校を立ち上げ、しかし、なるべく早いうちに、大学・大学院にしていこうという計画です。

HANELがスポンサーの私立の専門学校をスタートさせたいという要望で、日本の大手IT企業も協力するテクノロジー・パークですから、日本との連携協力を維持しながらの学校運営ということを意識しつつ、学校の基本構想を関係者と協力しながらつくっていければと考えています。

基本構想段階だけかも知れませんが、知遇を得た人たちのお陰で、こうした大切なことに関われるのはたいへん有り難いと思います。

そうです。国の100年先を見据えて、人を育てることは大切なことです。

*1:中國哲學書電子化計劃《管子》http://ctext.org/guanzi/zh

*2:ハノイ・ソフトウェア・テクノロジー・パーク」が出来る。http://d.hatena.ne.jp/keishu48/20110423/1303564778

*3:Hanoi starts work on first software technology park http://en.hanoi.vietnamplus.vn/Home/Hanoi-starts-work-on-first-software-technology-park/20114/1791.vnplus