留学エージェントの役割は重要なのに

日本語学校関係者は、すでにご存知かと思いますが、この4月入学を目指して、ベトナムの日本留学エージェントから書類が出た日本語学校への留学希望者のうち、ある特定の留学エージェントを通して大使館または総領事館から入管に留学申請をしていた50人以上のベトナム人在留資格認定証明書の発行が拒否されました。

提出書類中の預金残高証明書が偽造だと分かったからです。

そのエージェントは現地では、日本留学大手の名の知られた会社で、なぜ、そんなことになったのか、首を傾げたくなります。

もちろん、エージェントの言い分としては、「学生が勝手に偽造書類を出したので感知しない」ということかも知れませんが、これほど多くの偽造書類を同時に出してしまうと、今後、そのエージェントは、大使館や入管に相当警戒されることでしょうし、ベトナムでもうわさが広がることでしょう。

留学のビザが多く拒否されれば、エージェントとしての信用もガタ落ちで、仕事を続けられないでしょうし、儲けもなくなるのでは、と思っていたら、ベトナム人に言わせると、現地での手数料や翻訳料だけを稼いでいるのかも知れない、とのことです。

あるいは、次回は、会社名を変えて営業するつもりなのかも知れません。

しかし、いずれにしても目先の儲けだけが目的で、長期的な仕事をするつもりはないのでしょう。

こうした、詐欺まがいの行為を働くエージェントが名を知られた大手だというのも信じられませんし、仮に、万が一、それを知っていて、そこを使っている日本語学校があるとすれば、エージェントと同罪と言わねばならないでしょう。ただ、日本語学校は学生に入学してもらえないといけないので、そういった心配はほとんどないでしょうけれど。

深刻な問題は、このような未成熟な仕事をする、というか、犯罪を犯すエージェントと、そうではない真面目なところとが混在し、どこがどうなのか、一般には見分けがつかないことです。

留学におけるエージェントの役割を早くから確立してきた欧米では、すでに、かなり成熟した業界となっていて、業界団体も政府と連携し、教育産業政策と連動しながら仕事す進めてきているように思えます。

アジアでも、早くそうしないと、被害者は将来の留学生であり、また日本から見れば、日本語学校はじめ、大学や専門学校の留学生受け入れにまで悪影響を及ぼし続けることは明らかでしょう。2国間、あるいは、多国間の問題ですし、市場規模も大きくはないので、業界で自律的に進めるしかなさそうですが、日本語学校側の厳しいチェックとエージェントに対する啓蒙が必要です。

かく言う日本では、海外留学エージェントの認証制度も、ようやっと今月、初めて動き始めます。(これについては、近々、記す予定です。)