情報が多すぎるとき

情報が少ないときは、情報がないと不満を持つものですが、ぎゃくに情報が多すぎるときには、人はあまり不満を持たないもののようです。

しかし、多すぎると、その情報の海、あるいは、洪水の中で、本当に大切で必要な情報を見逃してしまったり、見失ってしまう恐れも大きく、情報が少ないのと同様に、具合が悪いことには違いないのですが、それをなかなか認識できないという意味では、むしろ、さらに始末が悪いのかも知れません。

3.11以降の震災被害や原発事故、それに引き続く放射線情報などもそうで、私たちには、どれが正しい情報で、何を信頼したらいいのかが、分からなくなってしまうわけです。マスメディアを通じた情報があてにならす、日本のマスメディアは信用ならないと怒る人もいますが、マスメディア関係者の間にも、同様のことが起きているのですから、一概にマスメディアを責めるわけにもいきません。

そして、私が主に関わっている国際教育交流分野でも同様のことが言えるのです。

一例として、日本留学情報を提供しているウェブサイトを海外から検索するとすると、次のサイトが出てくるのではないでしょうか。

  1. JASSO http://www.jasso.go.jp/index_e.html(JASSO)
  2. Study in Japan http://www.g-studyinjapan.jasso.go.jp/(JASSO留学生事業部)
  3. Study In Japan Comprehensive Guide http://www.studyjapan.go.jp/en/index.html(外務省)
  4. JAPAN STUDY SUPPORT http://www.jpss.jp/en/(アジア学生文化協会)

一見、情報は多ければ多いほど、いいような気はしますが、それぞれのサイトを見ると、かなり共通のことが出ているのです。それと、1〜3は、税金によって賄われているサイトですから、統合してしまってもいいような気もします。(もちろん、JASSOの事業全体では、国際教育交流事業は予算的に言えば、ごくごく一部ですので、その部分という意味ですけれど。)

国全体の予算から見れば、それほど大きい額ではないとしても、海外から日本留学の情報を取ろうとする人たちにとっては、どうもややこしい話ではあるのです。

ただ、どこのサイトでも、近年は多言語化が進んでいますから、これはたいへんに評価されていいことだとは思っています。JASSOに統合された財団の一つである日本国際教育協会で英語版の日本の大学案内をつくるのに文部省(当時)や大学、出版社まで巻き込み、喧々諤々の騒ぎとなった頃がはるか昔の夢のように思えることも確かです。