韓国の理工系エリート大学で自殺相次ぐ−過度の競争のためと批判

韓国の韓国科学技術院(KAIST) http://www.kaist.edu/edu.html という理工系の超エリート校で今年、4人の学生が自殺し、この10日には教授も一人自ら命を絶ちました。(もっとも、この教授の自殺は、大学の研究費の横領の発覚が原因だったようです。)

KAISTでは、大学当局による過度の競争主義が招いた悲劇と、批判が出て、韓国のマスメディアも連日のように報道しています。

KAISTは、理工系人材の養成のために韓国政府が'71年に大学院を開設。その後、韓国の理工系人材育成のリーダーとして存在し続けてきました。全寮制で学生全員に奨学金を支給しているといった手厚い態勢です。

問題になっているのは、'06年にソ・ナムピョ総長が就任して以来、革新的な改革を実施してきたことにあります。講義はすべて英語、成績不良の学生からは授業料を徴収、教授の終身雇用資格の厳格化などをとおして、抜本的な改革を提唱してきました。

たしかに、こうした改革のお陰で、例の「ザ・タイムズ」の世界大学ランキングでソ総長就任時の198位から'09年には69位にランクアップするなどの実績をあげて、'10年にソ総長は再選されています。

しかし、4年前の新入生からは、成績が4.3点満点で3.0に達しない学生は、最大で600万ウォン(約47万円)の授業料を払わなけれならなくなりました。英語が苦手な教授まで英語で授業を強制され、テニア(終身雇用資格)の認定では、この4年間に148人の教授のうち35人を脱落させて、大学教員たちに衝撃を与えました。

4月7日に自殺した学生は「両親に申し訳ないから、授業料を払うことにはなれない」と口癖のように言っていたとのことです。

KAISTでは、目下、すべての授業を休止して、教授と学生が話し合いを行っているということで、昨12日には、ソ総長と学生の懇談会を開いたはずです。


   「KAIST学生自殺」悲劇と教育の本質に (韓国中央日報社説)
    http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=138749

競争がないと、人間はノンビリしすぎてしまいますが、かと言ってあまりにも過酷な競争があれば、疲れてしまったり、うつになってしまったりするものです。もちろん、民族的な性格もありますけれど、米国大学仕込みのソ総長のやり方は、韓国社会にも受け入れられない部分があったのかも知れませんね。