いつだってポジティブにいこう!

このところ、留学生の大量帰国、果たして戻ってくるのか、留学のキャンセル続出、当分の間は留学生は減る一方…等々の情報が流れていて、もちろん、関係者は気分も塞ぎがちになってしまいます。

たぶん、こうした情報は事実でしょう。しかし、今のうちに出来ることは、じつは少なくないのです。

まず、当面の震災や原発事故の状況については、海外ではたいへん大げさに伝えられる傾向があります。それに対して、外務省始め各省庁はどのような広報をしているのか見てみる必要があります。試しに在外の知り合いに問い合わせてみると、やってはいると思うけれど、ほとんど認識できない、というのです。もちろん、その国内のメディアやクチコミの力は非常に強いものですから。

今日、私は日本語学校や専門学校の協議会のリーダーたちにお目にかかってお話しする機会がありました。そこで、せっかく留学生を抱えているのだから、その留学生たちに日本での状況を国に広報してもらってはどうかと提案しました。

日本の役所の広報だけでは足りないし、日本に残って、あるいは、戻ってきて勉強を続けたいという強い意思のある留学生たちに後方役をかってもらうのです。

これは効果があると思いますよ。

そして、海外での日本留学情報のプレゼンスをぐんと高める必要もあります。かつては、ほとんどなかった日本留学情報も、今日では、各国語で出ていますし、JASSO始め、外務省や、(財)アジア学生文化協会のウェブサイトでも見ることができます。しかし、これらの情報をもっと大量に送り出す必要もあります。

ご承知の方も多いと思いますが、例えばアジアのどこかの国で、英国の「ブリティッシュ・カウンシル」や、豪州の「スタディー・イン・オーストラリア」の事務所に行けば、その立派さに目がくらむほどですが、クアラルンプール・バンコクジャカルタ・ソウルと海外に、たった4か所しかない日本のJASSOの事務所は、ごく狭く、質素で、バンコクの日本人職員1名を除いては現地スタッフが2名いるだけにすぎません。

海外での広報という、そもそものスタート時点からして他の先進諸国に完全に引き離されているのが現状なのです。

これで、留学生が来ないと嘆くのは、どうもおかしい。やはり、まず正しい情報を、積極的に出し続ける必要があるのは当然です。

そして、海外での「留学フェア」のような教育展も、もっと積極的にやっていく必要があります。ただし、この種の催しを今年やれば、来年すぐに、留学生が急激に増えるということは、通常はあり得ません。コンスタントに毎年、開催し続けることによって、その効果が次第に出てくると考えるべきだと思います。

今、海外から留学生を受け入れることに困難な状況であるからこそ、様々な知恵を持ち寄って、常に前向きにやっていく必要があるのです。

留学生が多いことは、知日家が増える可能性が高まることです。そして、それは、日本の安全保障でもあるのです。