タイのウボンラチャタニーと東京はほぼ同じ放射線量といった情報を日本は発信できていない。

(昨日の続きです。)

バンコクから、昨日、次のメールが来ました。

-----------引用開始-----------

タイと日本の放射線量を比較するための資料として以下のタイ原子力庁のホームページを活用することができるのでお知らせします。

http://www.oaep.go.th/index.php

また、 本日(28日)8時現在の各地の放射線量は以下のとおりです。

バンコク都  0.045μSv/h
チエンマイ県 0.055μSv/h
コンケン県  0.055μSv/h
ソンクラー県 0.050μSv/h
ウボンラチャタニー県 0.066μSv/h
トラート県  0.092μSv/h
ラノーン県  0.121μSv/h
パヤオ県   0.140μSv/h

これを27日の文科省調べの数値と比較すると、東京都新宿区(0.070μSv/h)はウボンラチャタニー県と、千葉市原市(0.048μSv/h)はバンコク都とほぼ同じであることが分かります。

-----------引用終了-----------

タイ原子力庁のホームページの右上のコラムにデータは表示されています。タイのそれぞれの県がどの辺にあるのか知っている必要はありません。要は、放射線量はあまり変わらない、というデータなのです。

こうしたことを対外的に発信しているのか、疑問があり、政府の対外広報を探してみました。

まず、外務省のホームページの震災関連のページの英語版 http://www.mofa.go.jp/j_info/visit/incidents/index.html を見ると、真っ先に3月16日の天皇のお言葉が、次いで菅首相の言葉などがあり、様々な情報が並んでいますが、ホームページ自体にはメッセージ性は感じられません。中国語版と韓国語版には、天皇のお言葉は見られず、あとは、ほぼ同様です。

放射線量は文科省が測定して発表していますが、どこにそのデータへのリンクがあるのか探せませんでした。

その点、文科省のホームページでは、日本語版も英語版 http://www.mext.go.jp/english/ もトップに放射線量測定データを出していて、現実に対応している様子が感じられます。

ただ、問題は、海外の人が放射線量を知るのに、いったい文科省のホームページを見るだろうかという懸念は残ります。

次に、在外公館ではどうしているのか、在韓日本大使館のホームページの韓国語のページ http://www.kr.emb-japan.go.jp/index.htm を見ると、フロント・ページに韓国政府・国民の震災支援への感謝の言葉が大きく出ていますが、その他の現実的な情報は見つけられません。どこかにリンクがあるのかも知れませんが。

同じく、在中国日本大使館のホームページでは、中国語版 http://www.cn.emb-japan.go.jp/index.htm の最初には菅首相の言葉が掲げられ、下のほうに天皇のお言葉もあります。そして、震災関連のページ http://www.cn.emb-japan.go.jp/earthquake110323.htm に飛ぶと、食品安全、成田・羽田空港と横浜港の放射線量などは中国語版で載ってはいますが、残念ながら、多くは日本か英語の資料へのリンクとなっています。

……同じ外務省であっても、どうも、やっていることがチグハグですし、日本としての対外的なメッセージを強く押し出していこうという意思はあまり感じられないのです。

もっと分かりやすく情報やメッセージを統一的に発信出来ないものでしょうか。

こうした情報発信の脆弱性が日本をきちんと説明しアピールする上で大きな障害になっていると思うのは私の思い過ごしなのでしょうか。

そして、日本の状況をありのままに正しく海外に知ってもらえるような広報を政府だけでなく、大学や日本語学校を含めた様々なセクターが発信し続けることが、日本への「風評被害」を減らす唯一の方法だと考えるのですが……。