日本語教育機関の役割は大切なのに……


昨年度に引き続き、文科省の「高等教育機関に進学・在学する外国人学生の日本語教育に関する検討会議」http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/kaigi/1300405.htm の委員を仰せつかっています。

そこには、日本語教育の専門家、日本語学校関係者、大学・専門学校関係者、私のようにわけの分からない者などが、また、文科省文化庁、外務省、法務省などの官庁からも出席しています。

海外からの留学生が、大学や専修学校などの日本の高等教育機関に入学するための日本語教育の質を担保するためには、どうすべきかを議論するように設定された会議なのですが、これがなかなか難しい問題を抱えています。

というのは、日本語教育は、海外の大学や日本語学校などでも行われていますし、国内の日本語学校、大学の日本語別科、大学の留学生センターなど、その他で行われていて、また、日本語学習者の目的も、大学などへの留学、企業などでの研修、就職、日本での生活、趣味のためなど、多岐にわたります。

いわゆる日本語学校自体も、専修学校各種学校、株式会社、私塾的なものなど、その形態や規模も様々です。

これは、文科省が主宰する会議ですので、その主な目的はこれから大学などの高等教育機関に入学しようとする海外からの留学生の国内での日本語教育とその質についての話ではあるのですが、ご存知の方も多いと思いますが、日本語学校の質を担保するために(財)日本語教育振興協会が行ってきた日本語学校の認定事業は、昨年5月24日の事業仕分けでは、廃止との結論が出されました。

とりまとめコメント

日本語学校の審査業務の必要性についてはすべての委員が認識しているが、問題は、その制度が不明確であるということである。そもそも常勤職員が4名しかおらず、うち3名は官庁OB というような民間の組織の行った審査結果を「参考にする」という法令の立てつけとなっているが、この協会を通さなければいけないのか不明確であるとともに、審査料や更新料が適正かという問題もある。ここは一旦、法的により明確な制度に改めるべき、との趣旨で、事業の廃止という結論とさせていただく。http://www.cao.go.jp/sasshin/data/shiwake/result/B-38.pdf

つまり、「日本語学校の審査は必要だが、制度も不明確で、だいいち、天下りが多すぎる。なぜ、この団体を使うのか。審査料や更新料が高いのではないか。法に基づいて明確な制度にせよ」ということです。

しかし、こうなると、いったい日本語学校の認定とその更新は、どこがやるべきなのかという大きな疑問が出るのですが、当面は文科省法務省で行うということになるのかも知れません。しかし、役所内部に専門家はいませんし、それをする余裕などないことは、私には明らかであるように思われます。

とはいえ、震災や原発事故で海外から日本への留学生の激減が予想され、一刻も早く、きちんとしたガイドラインに沿った日本語学校の設置と運営が求められるわけですし、その認定や更新の作業も、また、急いで軌道に乗せなければならないことは自明のことです。

日本語教育は、日本留学の一つの入口でもあるし、日本で仕事をする外国人や、日本語を母語としない日本在住者にとっても必要な、重要で大切なものですから、その質の担保は速やかに行われなければなりません。

しかし、日本語教育に関係する省庁も、文科省文化庁、外務省、法務省などに分かれ、省際的なしっかりした連携、あるいは、ワンストップ・センターが必要なわけですが、30年前からあまり改善されたとも思えません。

ここにも日本の留学生受け入れ過程の大いに悩ましい現実の一つがあります。

せめて、日本語教育については、この検討会議で、早急に一定の方向性と具体的な方策が見出せるといいのですが……。