相変わらず最大の留学生供給国、前年比24%増−中国

4月末、中国教育部と人力資源・社会保障部は、「2010年末までに、留学生として出国した者の数は127万人を超え、そのうち95万人が現在も外国の学校に在学している」と発表したとのことです。http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0430&f=national_0430_118.shtml

それによれば、「2010年に留学を目的として出国した中国人の数は、昨年同期比で24%増となり、中国は世界で『最大規模の留学生輸出国』となった。うち私費留学生が留学生全体の93%を占め、アメリカ、オーストラリア、日本、イギリス、韓国、カナダ、シンガポール、フランス、ドイツ、ロシアの10カ国に留学する人が、全体の90%を占める。」とされています。

例えば、米IIEのデータでは、米国の2009‐2010年度の中国人留学生の数は12万8千人で久しぶりにインドからの留学生数を超えて1位になりました。中国政府の統計とは取り方が違うのか、少なめですが、それにしても13万人近くが米国に留学しています。

日本への中国人留学生数も、JASSOの統計によれば、大学など高等教育機関日本語学校に在籍する学生の合計で、2010年には10万8千人を超えています。

他の先進諸国への留学状況も似たり寄ったりで、中国人留学生は世界のあちこちで最大多数なのです。

そして、私費留学生が93%を占めているということは、奨学金付きで、多くは帰国の義務がある人が7%であり、大部分は必ずしも中国に戻るとは限らないと見ることも出来ます。かつてのように、ほとんど中国には戻らないという状況は中国経済の好転とともに徐々に解消されてきて、中国に戻る留学生や元留学生に「海亀族」などという呼び名を付けていましたが、ここへきて中国の好況にも陰りが見え始め、今後は、どうなるか分からない部分も増えてきそうです。

かといって、例えば米国では2008年9月のリーマン・ショックの後には、米国で就職できない中国人留学生が大挙して帰国したけれど、中国でも職が見つけられず、今度は、「80后('80年代生まれ世代)」の仕事にあぶれた中国国内の100万人とも言われる大学卒業者「蟻族」の一員となってしまった人もいるようです。

中国では、1999年に国内の大学の入学定員を前年比で一挙に45%増員し、その後も増員を続けてきました。しかし、社会の需要がそこまで伸びなかったことも災いして、大卒失業者を多く出すようになり、経済的に余裕のある層は、海外留学し、海外で就職しようという動きにつながってきたように思えます。

そして、米国や日本の留学生受けれ人数を見ても、この傾向は当面は続くと考えられます。

もともと人数が多いのだから、留学生数も多いのだということも言えますが、中国国内の教育と経済の事情により、その流れも大きく影響を受けているわけです。

巨大な国の動向で、世界が影響を受けています。中国から優れた留学生が世界に出ることには異議はありませんが、それが中国の国際化に役に立ってくれることを望みます。