上海で「震災説明会」も悪くはないけれど……。

昨日流れたニュースでは、中央大学の学長が自ら上海に赴いて、中国人留学生と父母等を対象にした説明会を、この15日に開くということです。

中央大学長、中国人留学生と父母らに「震災説明会」15日に上海で
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110512/chn11051202000001-n1.htm

もちろん、これはこれで効果があることと期待したいです。

しかし、震災などなくても、こうしたことを、ごく当然のこととしてやってきている欧米豪などの大学のほうが、当然、強力な広報力を発揮してきているはずです。

昨年3月には、ハーバード大学のドルー・ファウスト総長が、中国や韓国の留学生に比べ、日本人留学生の存在感が薄いとして、訪日し、日本人学生に奮起を促したのは、まだ記憶に新しいところです。

あるいは、数年前に、アイルランドの教育相が来日して、昼食会があるからと呼ばれたことがあります。日本だったら、大臣が海外に行けば、たいていは冒頭に官僚が書いたメモを見ながら形式的な挨拶をして、あとは、大使も同様の挨拶をして、担当者が実務的な話をすることになっているようですから、たぶん、そんなものだろうと思っていました。

ところが、何と教育相は、45分ほどもパワーポイントを使いながら、たいへんに熱を入れて、自らの言葉で、アイルランドの留学生受け入れ政策について講演をしたのです。日本の文科相が、そうしたことを海外でしたという話は、私は、ついぞ聞いたことがありません。

その場に呼ばれたのは、公的機関、大学、留学エージェントなどの多様な人たちでした。

日頃からの日本の広報の貧弱さと稚拙さが、この震災をきっかけに多少とも改まるといいのですが……。

上の報道は、次のように締めくくっています。

日本の外国人留学生全体で中国人学生は最多だが、日本語教育振興協会が4月に調査した195校の9301人の外国人留学生のうち、3828人が震災後に帰国し、308人が退学手続きを取った。日中関係筋によると、4月から日本行きを計画していた中国人学生の約10%の約600人が留学を取りやめている。