宿舎の課題−いずれ留学生が増えようというときに

留学生宿舎を長年、経営してきた友人から、今日、電話をもらいました。

彼が話したのは、まず、JASSOの留学生宿舎はどうなるのだろうか、という心配です。長年、民間で留学生宿舎を経営してきた立場から見れば、JASSOの宿舎は贅沢な宿舎だとは言えるのでしょうけれど、それでも、それがなくなっていいとは考えられないようです。

次に、彼の宿舎には、大学が交換留学生として受け入れている留学生を多く入居させているのですが、この秋の受け入れ予定者数が、どこの大学も激減だと言うのです。

そして、仕方ないから入居対象者を変えてしまおうか、政府から補助金も何ももらえないのだから、今後、しばらくは低迷しそうな留学生の入居ばかりを当てにして潰してしまうわけにはいかないから、と経営者として当然のことを言うのです。

当然、民間宿舎では入居対象を柔軟に変更できます。ただ、もし、入居対象者を日本人学生や、その他の人に一度、変えてしまうと、それをまた留学生に戻すのは難しいかも知れないな、とも彼は言います。

たしかに、今後しばらくは海外からの留学生が減少に向かうことは避けられないかも知れません。経営上の問題として、留学生以外の入居者も対象にするようになる民間宿舎も少なくないことでしょう。

JASSOの全国の留学生宿舎は、先日書いたような経緯*1で、来年3月までに売却されようとしているわけですが、仮にそれらの入居対象者の構成比率が変わり、公的施設の留学生の収容能力が落ち、民間宿舎も同様になった場合、いずれ日本への留学生数が上向いてきたときに、受け入れられる宿舎が不足する恐れもないではありません。

もちろん、それを防ぐうえでも、アパートなどの宿舎の開拓も必要ですが、異文化を背負って来日する留学生の、とくに初期の段階でのケアはどうするのか、気になるところでもあるのです。

そして、これは、日本語学校や大学の留学生受け入れの今後の課題とも相似形を示しています。

関係者のみでヤキモキしていないで、これも日本全体の問題であるとアピールしていく必要があります。

*1:「国際交流会館など売却へ」http://d.hatena.ne.jp/keishu48/20110525/1306269577