「日本語別科」という選択

留学生たちが来日後、日本語を学ぶ教育機関として、日本語学校が一般的と思われがちですが、もう一つ、大学に付属している「日本語別科」というものもあります。

現在、JASSOの資料によると、大学・短大が設置する日本語別科は54あります。*1ただし、近年、この別科の募集を停止し、廃止する傾向も見られるようです。日本への留学生数の減少を見込んでのことか、別科の運営自体が採算が取れないものと考えられるようになってきているからなのでしょうか。いっぽうで、新設予定の日本語別科もあります。

今日、台風の接近のせいで、時おり、激しい雨が降るなか、都内のある大学の日本語別科をお訪ねしました。担当の方のお話では、日本語別科を廃止する大学もあり、新たに開設する大学もあり、必ずしも、方向性があるわけでもないのではないでしょうか、とのことでした。

その大学の日本語別科でも、3.11の後、キャンセルも相次ぎ、この4月には定員のほぼ半数の留学生しか入学しなかったとのことです。

その意味でも、今後、従来以上に積極的な広報とリクルートを強化しなければならないのは自明のことですが、一般的に言って、さらに、次のようなことを考えないといけないだろうと思います。

まず、大学の付属機関ではないとの意識を持つべきだということです。もちろん、組織上は大学の組織の一部ではあるのですが、留学生たちは、別科から、その大学に進学するとは限りませんから、別科単独で、いかに採算を取るかを考えないと、別科の経営はなかなかつらくなってきます。

つぎに、別科と大学学部等との連携強化も、別科であるのですから、比較的たやすく可能なはずです。

そして、上述のこととは矛盾するようですが、大学への進学準備課程だとの画一的な既成概念に囚われすぎると、プログラムの柔軟な運営は難しくなります。これは、民間の日本語学校も同じことなのですが。

抽象的な表現ばかりで申し訳ありません。これ以上、具体的なことは、必要ある場合に、個々のケースに当てはめて、より具体的に申し上げるほうがいいでしょう。

*1:私立大学・短期大学留学生日本語別科(進学者対象日本語予備教育)http://www.jasso.go.jp/links/bekka.html