またまた、ホーチミンで考えた−ベトナムに必要な人財育成と日本語教育

昨日、今日と、ホーチミン市内の3年制短大と大学の学長・副学長をお訪ねして意見交換しました。

3年制短大というのは、こちらでは、高校を卒業してから正規課程だと3年の課程を履修するものです。訪問したのは工業短大で、市内にしては緑豊かな広いキャンパスで、学生数は正規・非正規(短期)を合わせて約1万人とのことで、将来、キャンパスを増やす予定でさらに広大な敷地を確保済みとのこと。国立です。

卒業生の8割ほどは関連分野の企業に就職し、就職率は100%。あとの2割ほどは4年制大学の3年に編入するそうです。やはり、ベトナムも学歴社会なので、少しでも高い学位をほしがる傾向はあるとのことです。

ただ、今のベトナムの目覚ましい経済成長を支えるためには、中堅技術者の養成が喫緊の課題ですので、3年制短大の役割は非常に重要であり、ニーズも高いことには変わりありません。

このレベルの教育については、海外に出すのは経費がかかり過ぎますが、むしろ、日本の該当するレベルの教育機関がこちらに進出するほうが効率的だと考えるのですが……。

大学は、やはり国立のホーチミン市金融大学(「銀行大学」とも呼ばれるようです。)を訪ねました。市の中心部と郊外とのキャンパスを持ち、学生数は正規1万人、非正規7,000人。もともとは銀行に勤める人を養成する目的で設置され、金融学科・会計学科、それに外国語学科(英語のみ)があります。第2外国語として中国語と日本語を選択できます。卒業生は、もちろん、銀行に限らずさまざまな企業に就職しています。

こちらの大学には外国語センターがあり、大部分は英語を学んでいますが、日本語は約200人が学び、2・3年生のときに2年間で200時間習っているとのことで、日本語能力試験は、せいぜいN5程度かと思いきや、何とN3を受験しているのだそうです。優秀な学生たちなのでしょうね。機会さえ得られれば、日本語は、かなり上達する学生が多いことでしょう。

こうした短大や大学の学生は日本語を習っても日本留学を目指すこともなく、ほぼ例外なく就職しているわけですが、日系企業の進出も多くなってきているため、就職に役立つような日本語教育は、日々、重要となってきていることがうかがえます。

ベトナム側に人財育成のニーズが高く、初・中級とはいえ日本語を学習する人が今後とも出てきそうなのですが、肝心の教員をどうしたらいいか、とくに、質の高い教員を、どう確保したらいいのかが、どこも頭痛の種のようです。

政府間の制度として、優秀な日本語教員をさらに多く派遣できるようにできないものでしょうか。道路や橋も結構ですが、その一部でも、こうした文化交流に回せないものかと、いつも考えてしまいます。*1

*1:2001年7月23日17:55に一部改訂しました。