なおも、ホーチミンで考えた−やはりリクルート戦略を間違っていないか

これまで書いていることと重複すると思いますが、日本の日本語学校や大学など高等教育機関が留学生をリクルートするには、総合的な戦略が必要なわけです。

まず、単独で海外に行って、「ウチの学校にいらっしゃい」と言うのは、もちろん基本ですが、それは、誤解を恐れずに喩えれば、漁師が釣竿を持って小舟で漁に出るようなものです。たまたま出会った魚の何%かが得られるだけですから、効率としてはあまり良くありません。

また、「留学フェア」のように、教育機関が連携して海外に行き、「私たちの学校にいらっしゃい」と言うのは、漁師が漁船団を沖に出し、船で網をしかけて大漁を狙うものですが、存在感は増すものの、他の国の漁船団も来ているので、競合する部分も多いはずです。

さらに、魚を獲るだけでは資源が枯渇する恐れがあるから、稚魚の養殖もしよう、というのは、海外で準備教育もしようということに該当するでしょうから、ちょうど豪州の大学のような「オフショア・キャンパス」づくりや、欧米の大学のようなダブル・ディグリー・プログラムに相当するかも知れません。

そして、漁獲があっても売れなければ意味がないので、漁業組合は流通業界や小売業界とも連携をする必要があります。国際教育分野だと留学生の就職への道をきちんと整備することでしょう。

このことは、JASSOで仕事をしていた20年ほど前から口を酸っぱくして大学などには言ってきたことなのですが、一向に変わる気配はありません。

こうした、言わば当然のことが、まだ国際教育分では十分に整備できていないままなのです。

やはり、リクルート戦略を、もっと広い目で見て考え直すべきときではないでしょうか。

留学生のリクルートと漁業を比べるなどといった乱暴な話は、両方の分野からお叱りを受けることかも知れませんが、分かりやすくするために敢えてそうしました。お気に触ったらお許しください。