日本語教育と高等教育との連携は今後の国際教育展開の大前提

どうやら日本だけが、日本語教育と大学や専修学校などの高等教育との連携を怠ってきてしまったようです。

欧米などの留学生受け入れ先進諸国を見ると、外国人への語学教育と大学などの高等教育とは連携していることが多いのです。

語学学校である程度のレベルに達したと認められると大学の授業も聴講できるようになったり、大学から正式に入学許可が出たり、あるいは、最初から大学に入学を認めて、ただし、語学学校で一定のレベルまで語学力を付けることと、とされたりしているわけです。

この改善については、役所の責任ではなく、日本語学校と大学などとの努力によって解決される部分が大きいはずですが、現状を見ると、あまり進んではいないようです。

ただし、例えばこうした方法がありますよ、といったモデル事業的なものを国が支援していくつか示すとこは大いに意味があると考えます。

もう一つは、海外と日本国内の日本語教育の連携も進んでいないことも、日本への留学をスムーズにできない一つの原因となっています。

現状では、日本語教育の分野でも、海から外は外務省・国際交流基金の担当であり、陸に上がれば文科省文化庁の担当となるわけですが、このことが国内外の日本語教育のネットワーク強化を阻んでいることは明らかです。日本語教員の国内外の移動もスムーズにできていません。

もし、例えば、ドイツのゲーテ・インティトゥートのように国内外が一つの組織として運営されれば、この問題もかなり改善されるのですが、いまだに黒船時代と大して変わらない組織運営をしているというのは、いったいどうしたことでしょう。

もちろん、これは、中央官庁や団体の責任ではなく、こうした体制を作り維持してきた政治の怠慢であると考えます。この抜本的改善も喫緊の課題なのです。

これらの課題以外に、もう一つの問題は、日本語教育を必要するのは、大学など高等教育機関への進学予定者だけではないのに、日本国内では、どうしても大学などに進学予定の留学生の日本語教育に力点が置かれ過ぎてきたことがありますが、これにいついては、また別の機会に記しましょう。