海外留学時の消費者保護へ

留学事業者の利用は多い

日本から海外留学する際に、いわゆる「留学エージェント」あるいは「留学あっ旋業」と呼ばれる留学事業者を通して留学する人も多いはずです。

すでに語学がかなり出来る人なら、インターネットなどで自分で手続きをすればいいのですが、これから語学も習うという場合には、どうしても、こうした留学事業者を利用することが普通になります。

事業仕分けで「留学情報センター」廃止

日本から海外留学する人たちに、公的立場から、より適切な情報を提供しようという目的で1980年に設置されたのが、(財)日本国際教育協会(当時。2004年4月よりJASSO)の留学情報センターでしたが、ご承知のように事業仕分けで廃止を決められ、今年3月末でJASSOの東京と神戸での海外留学希望者個人へのカウンセリング業務は終わりました。

同センターが開設された理由は、その前年に語学研修ツアー主催者の倒産などの事故が相次ぎ、マスコミや国会で取り上げられ、公的な立場で正確な留学情報を提供する場がないことが問題とされたためでした。経営的にも不安定であることも少なくない留学事業者の情報を集め、トラブルを回避し、より適切な留学の実現へ向けて支援するのが同センターの仕事でしたが、事業仕分けでの廃止の理由の一つには、民間で十分、情報を提供できている、ということが挙げられました。

しかし、現にこの2年間にも「ゲートウェイ21」や「サクシーオ」といった、かなり大規模に留学事業を展開していた事業者が倒産していることを見ても分かるように、それはあまりにも実態を知らな過ぎる判断であったわけです。同センターには事業者への査察権もなかったため、その評価を公表することもできないままでしたし、何かトラブルが起きたときには、消費者センターなどに相談するくらいしか対策はなかったわけです。

海外留学に主務官庁はない

ちょうど、国内の日本語学校とよく似ていて、留学事業者には主務官庁というものは存在せず、関連すると思われる中央官庁には、今で言えば、文科省経産省消費者庁観光庁などが挙げられますが、どこの役所に責任があるというものでもありません。

留学事業者の自律的認証

いっぽう、主要な留学事業者たちは、1992年に「海外留学事業団体連絡会(JAOS)」を設立し、業界内での問題解決を図ったり、消費者への啓蒙などに努めてきました。

また、教育機関や関係省庁などとの連携も進め、消費者保護を目標に掲げてきたわけですが、JAOSは言わば業界団体ですので、第三者機関としての中立的な留学事業者の認証団体として、この8月初めにも「一般社団法人 留学サービス等審査機構(JABOS)」を立ち上げる運びとなっています。*1

消費者保護と円滑な海外留学事業の運営を目指した今後のJABOSの活動に期待したいと思います。