震災が日本留学に及ぼした影響をまとめてみる必要がある。

3月の震災から5か月近く経ちます。

そろそろ震災が日本留学に及ぼした影響をまとめておく必要があるかと考えます。これから調査するとしても、震災の半年後の状況ですから、1年後、2年後、3年後……と5年間くらいは同じフォーマットでフォローする必要もあるでしょう。

もちろん、ネガティブな側面がきわめて大きいはずですが、何かポジティブな側面も探れれば、さらに良いと思います。

アンケートや面接による調査と並行して、その中間発表的なデータでも構わないので、それも参考にしながら、関係者でシンポジウムを開催するのはどうでしょう。

震災や今も進行中の原発事故が、日本語学校と大学など高等教育機関などに与えた影響、留学生の日本での就職状況と企業の国際人財採用に及ぼしたものなどにつき、多角的に論議してみて、状況を把握する試みです。

これは、今後の日本語教育や日本留学に関わる分野だけでなく、広く日本の政治や国際教育交流の戦略を考えるうえでも、たいへんに意味のあることだと考えます。

日本企業を見ると、留学生を新卒採用した企業の割合は2010年度で11.7%、11年度見込みで21.7%に伸びていて、社員1,000人以上の企業に限れば、26.0%から35.2%に増加し、およそ3社に1社が留学生を採用しているということが報じられています。*1企業の国際化を図るうえでも留学生への期待はますます大きくなってきているのです。

他方、震災後の1か月間に日本を出た留学生の数は7万人と言われ、戻って来つつあるものの、留学生を採用したい企業は、今後の国際人財確保には頭を抱えているところも少なくないようです。*2

こうした出口の状況も視野に入れながら、震災の影響につき、調査し、検討して見ることは、今後の日本の国際教育交流の展開を考えるうえでもたいへんに重要なはずです。

*1:留学生の採用広がる 大手では3社に1社(2011.07.22 日本経済新聞http://www.nikkei.com/biz/editorial/related-article/g=96958A96889DE0E5E0E7E0E7EAE2E0E1E2E6E0E2E3E3869882E2E2E2;p=9694E2E7E2E6E0E2E3E3E2E0E1E0

*2:東日本大震災で留学生が減少、企業は人材確保にあの手この手―日本(2011.07.31 レコードチャイナ)http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=53177