「グローバル30」? 「グローバル13」?

昨日、「第2回グローバル30産学連携フォーラム」があり参加してきました。

グローバル30(G30)とは、正式名称を「国際化拠点整備事業」と言い、文科省日本学術振興会を通じて実施している、2009年に開始された国際教育交流の促進事業です。*1

文科省のHPには、「世界的な人材獲得競争が激しくなっている状況の下、我が国の高等教育の国際競争力の強化及び留学生等に魅力的な水準の教育等を提供するとともに、留学生と切磋琢磨する環境の中で国際的に活躍できる人材の養成を図るため、各大学の機能に応じた質の高い教育の提供と、海外の学生が我が国に留学しやすい環境を提供する取組のうち、優れたものを支援する。」となっています。

要は、日本の大学の国際競争力を高める一環として、海外からより多くの留学生を受け入れ、そのことにより、日本人学生も刺激を受けてたくましくなってもらおう、といった趣旨です。

ただ、当初、1大学当たり毎年度2〜4億円の国からの財政支援を予定していたのですが、ご多聞に漏れず、2009年の事業仕分けにより、2010年には予算が30%削減されてしまい、所期の目的を達成するうえでは、出鼻をくじかれた格好になっています。30大学に広げるどころか、果たして最後まで継続できるのかどうか、不安になります。大学関係者間では、「グローバル・サーティー」が「グローバル・サーティーン」のままに終わる、と自嘲的に言う人も少なくありません。

さて、昨日は、経団連会館の広い国際会議場が満席になる盛況で、開会挨拶と鈴木寛文科副大臣の挨拶に続き、日本経団連副会長で日立製作所会長の川村隆氏の基調講演、分科会①「留学経験のある日本人の雇用について」、分科会②「留学生の雇用について」があり、分科会報告と続きました。分科会に先立って2回の事前の討議が分科会メンバーによって行われたとのことでした。短時間の分科会での発言内容を充実させようという努力が行われたようです。*2

内容的には、私個人にとっては、特段、新味のないものではありましたが、大阪大学経営学を修了した中国の呉藝(ウーイー)さんが、日本企業に就職せず、外資系のコンサルタント会社に就職したことについて、「私一人がいくら頑張ったところで、日本企業の保守性は変えられないと思ったから」という痛い指摘が印象に残りました。

また、フロアからの最後の発言で、某私学から、「G30に採用された13大学以外にも参加の余地を」といった趣旨の発言があり、せっかくのG30の成果を、13大学だけで囲い込まずに、より多くの大学がシェアできるシステムの必要性を訴えていたことも、来場者たちに大いに受けていました。

G30のような、いわばモデル事業的なものは重要なのですが、予算があるうちはそれを使い切ってしまい、予算が終わったら何も残っていないような形態は避けなければならないことは当然ではあるのです。