3.11と円高に苦しむなら、いっそ海外進出?!

日本語学校には厳しいときです。遅からず大学など高等教育機関にも確実に波及します。

3.11の影響による留学生の急減に、円高の追い打ち。経営基盤が必ずしも強固でない学校の場合、いつまでもつかというケースもあります。

ここらで発想を切り替えて、円高のメリットを生かすという選択肢も考えられないでしょうか。

海外に進出するのです。

とんでもないことを…、と思われるかも知れませんが、例えば、ベトナムで小〜中規模の日本語学校を買収するとすれば、私が知っている日本語学校の場合でも、いろいろ含めて500〜1000万円で可能でしょう。もちろん日本から教員を派遣するとなると、その分は必要ですが。

日本語学校の場合、海外進出のメリットは、その国からより上質な留学生の受け入れが可能となることと、国内外で連携プログラムが組みやすくなることです。

大学の場合は、米・英・豪等の大学はすでにアジアのあちこちに進出しています。

豪州では「オフショア・キャンパス」と呼ぶ海外のキャンパスで教育プログラムを実施したり、あるいは、海外の高等教育機関と共同教育プログラムを行う方法もあります。

海外に現地校を開設するか、分校をつくって教育プログラムを部分的に実施し、あとの授業は、その国の大学で受けるという方法もあるのです。

もちろん、豪州の大学にこれが有利なのは、豪州の大学は3年制ですから、2年間は自国で勉学して、あとの1年を豪州で学ぶことが可能だからです。日本の大学の場合だと、例えば2年ずつとなってしまうでしょうか。

こうした、「ツイニング・プログラム」は、留学経費が安く抑えられるのと、海外に滞在する期間が短くできるため、留学生はホーム・シックにかかる暇もなく卒業できることかも知れません。

もちろん、大学にとって具合が良いのは、現地での予備教育の間により良質の学生の選抜が可能となりますから、学生の質を一定水準以上に保つことができるます。ただ、卒業までの間を海外で過ごしたいと望む学生にとっては、その機会が短くなり、一部の学生にとっては不満につながる恐れもあります。

経費の点で見ると、ツイニング・プログラムを利用した場合と、すべて留学した場合とを、豪州とマレーシアのケースで見ると3年のプログラムで約2倍の差があるという試算があります。

例えば、こうした、国際教育交流のさまざまな形態を日本の教育機関も取り入れて、今の苦しい状況を乗り切ることも考えるべきではないでしょうか。