韓国の留学生制限は他人事ではないはず。

2004年から昨年までの6年間で外国人留学生数が約5倍という目覚ましい増加を見せている韓国ですが、昨16日の朝鮮日報の報道は読んでいて、決して他人事とは思えない内容でした。

韓国の某私学は、学生の募集が困難になるとすぐに、留学エージェントを通じて中国・ベトナム・モンゴルなどで留学生を募集したのですが、韓国語能力は形式的に検証しただけで、実際には韓国語がまったくできない学生もいたとのこと。ついには、その大学の留学生の96.5%は中退してしまったということです。

このような一部の大学が、留学生のきちんとした選考を経ないで入学許可を出し、結局は中退したり、不法滞在者となって残留したり、といったことが増えてきたため、韓国教育科学技術部(日本の文科省に相当)では、留学生誘致と管理に関する能力を評価し、政府から認証を出すことにしたとのことです。

韓国政府は、下位15%の大学(「下位」というのは何を基準にした「下位」なのか報道では必ずしも明確ではありませんが、まずは学生の定員充足率でしょうか。)を重点的に管理する方針で、認証を申請しない大学に対しては、法務部などと合同で実態調査を行い、外国人留学生のビザ発給を制限するなど、厳格な措置を行うことを決めたということです。また、認証を受けた大学にはGKS(外国人留学生奨学金)事業への参加資格を与えることになったとのこと。

韓国では、最近2年間で留学生の中途退学率が50%以上に達した大学や、除籍対象の学生を進級・卒業させた大学も摘発されたとのことです。*1

日本の場合も、韓国同様の傾向が見られることはご承知のとおりです。日本では、18歳人口の減少により定員割れを起こしている4年制私学が39.0%ですし、今後も増加するものと思われます。また、中国からの留学生に大きく依存し、また、エージェントに多くは頼っていますから、日本語学校を含めて日本の教育機関は、今のうちに、これ以上の困難を抱え込まない方法を取る必要があるはずです。

かつての酒田短大や青森大学のような事件を繰り返すことがあれば、日本の国際教育交流は自らの首を絞めることになるでしょう。

*1:「むやみな外国人留学生誘致を制限へ」(2011.08.17 朝鮮日報日本語版)http://www.chosunonline.com/news/20110816000029