日本語学校10月期申請3割減 惨状からの脱却をどう図るか?

(財)日本語教育振興協会の中間報告でも、すでに趨勢は明らかでしたが、8月17日に発表された今年10月期生の入管への申請件数を見ると、国・地域別では上位5か国・地域のうち、ベトナムと台湾を除き、昨年同期比で24〜55%減となっていて、多くの日本語学校は、目を覆うばかりの惨状と言えます。

2011年10月期生申請状況(最終報告) 439校中431校回答

年    総数   中国   韓国   台湾   ベトナム  ネパール
2010   13,217  8,945 1,455  812   395   311
2011   9,234  5,720   661  615   443   602
増減件数 -3,983  -3,225  -794  -197    48    291
増減率  -30.1% -36.1% -54.6% -24.3% 12.2% 93.6%
(日本語教育振興協会による。)

また、地方入管別では、仙台入管の65.8%減は、当面、致し方ないとしても、札幌45.8%減、東京39.0%減、名古屋19.7%…等々と軒並み大幅な減で、大阪のみが0.9%減と影響は軽微である様子です。

国・地域別に見ると、韓国54.6%減、中国36.1%減、台湾24.3%減というのは相当な痛手です。これら3か国・地域からの留学生で日本語学校の留学生の大半を占めているわけですから。増加しているベトナムとネパールは、今後の伸びに期待するべきですが、現状では元の数が小さいわけですから、全体への影響は、まだ大きくはないとも言えます。

こうした、全体では30.1%という減には、3.11の影響がどのくらいあり、また、それ以外の要素がどうであるのか、その分析をしつつ、この惨状からの脱却の方策を考えなければならないと思います。

一つには、日本語教育の多様化を図り、必ずしも大学進学者対象コースとは限らないことは重要な点です。これを変えると、従来の中・韓・台に大きく依存する国・地域の傾向も変わることと考えます。

もう一つには、日本語学校が大学進学予備校の役割のみを担うのではなく、大学や専門学校などとの連携プログラムをつくっていくことだと考えます。そのためには、大学や専門学校も従来の考え方を捨てて、より柔軟に、積極的に、日本語学校との連携を進めなければならないでしょう。より質の高い学生の確保のためには、高等教育機関も変わる必要があるのです。

もちろん、どの教育機関も、海外への広報を、より積極的に行わなければならないことは自明のことです。