「留学生の誘致にしがみついている」

一昨日、8月26日の韓国の中央日報によると、昨年、忠清南道にある青雲大学校(4年制私学)に通った外国人留学生は310人の年間授業料は440万ウォン(約34万円)あまりで、1人当たりの奨学金平均額が340万ウォン(約26万円)だったとのこと。

つまり、留学生が実際に負担した授業料は100万ウォン(約7万7000円)程度だったわけです。

しかし、昨年、同大学に通った韓国人学生が払った授業料は700万ウォン(約54万円)を超え、1人当たりの奨学金は110万ウォン(約8万5千円)にすぎなかったということです。韓国人学生の授業料が外国人留学生より6倍も高かった計算です。*1

中央日報は、この状況を、「外国人留学生の誘致にしがみついている」と評しています。

韓国の教育科学技術部の資料では、昨年、外国人留学生を誘致した大学5校のうち1校は授業料の半額以上を奨学金として支給しているとのこと。調査対象大学157校中、奨学金の比率が授業料の50%を超えた大学は30校あったということです。

ハンナラ党の趙全赫議員は、「無分別に外国人留学生を誘致している」とし、「国内学生らがもらえる恩恵が減るだけでなく、大学の質の低下を加速させるため、留学生の質管理に取り組むべきだ」と述べたそうです。

このため、教育科学技術部は、経営実態の良くない大学が外国人留学生を誘致し延命することを防ぐため、学資金貸出制度を制限を受ける大学や外国人留学生の中途退学率が高い大学には不利益を与えることにしたと中央日報は報じています。

この韓国の状況は、日本でも十分に起こり得ることです。

もし仮に、18歳人口減への対策として、留学生の受け入れで単純にそれを穴埋めしようとしたり、必ずしも成績が良いとは言えない留学生まで、授業料の減免の対象としたり、という大学が日本にもあるとすれば、「留学生誘致にしがみついている」とか、「無分別」と評されても致し方ないでしょう。

人を育てる機関として、優秀な学生を優遇すべきことでは、留学生も日本人学生も何ら変わりはないはずです。また、相対的な経済水準や、日本と諸外国・地域との交流の拡充や相互の社会の向上のためには、ある意味、留学生を優遇することも当然です。

しかし、大学の思わしくない経営の改善のために留学生を無分別に入学させ優遇することは、本末転倒と非難されるべきことでしょう。

*1:「外国人留学生の学費、国内学生の6分の1水準」(2011年08月26日13時28分 中央日報日本語版)http://japanese.joins.com/article/203/143203.html