外国人労働者70万人-韓国

今日の韓国中央日報は、韓国の外国人労働者数が71万人を超えたと報道しています。*1

同記事には、自国のバングラデシュでは仕事がなかった3年目の単純機能工として働いて3年目の人が、月160万ウォン(約11万5000円)ほど稼いでいると紹介され、その工場の韓国人が「50人のうち24人が外国人だが、ありがたいぐらい一生懸命働いている」と話したと報じています。

韓国雇用労働部外国人労働力政策課長は、「自国で働くより普通10倍程度高い月150万ウォンぐらいを稼ぐことができる」と述べたことが紹介され、また、「ヨーロッパ人は移動できる労働市場が多いが、アジアでは韓国がほとんど唯一であり、外国人が集まる」というある大学教授の意見が伝えられています。

韓国に労働力を送っている国はベトナムバングラデシュなど15か国で、違法滞在率や誠実度などによって国別に人数が制限されているとのこと。

韓国で就職するための条件である韓国語能力試験には数万人が応募するそうです。ネパールでは3000人の募集に対し、5万人が殺到し、モンゴルとウズベキスタンでは、各1000人の選抜予定に、それぞれ1万人、1万2500人あまりが受験するということです。それでも、韓国語試験に合格しないと雇用人材プールに入れず、その後にも韓国企業の採用を受けるまで1〜2年待たなければならない状況だとのこと。

71万人のうち90%以上が規模30人以下の中小企業で、残りは農漁村で仕事をするということで、ある事業主は、「夜勤が多いと言って韓国人は来ないが、外国人労働者は夜勤手当を稼ごうと仕事を探す」と述べています。そこで働くフィリピン人は、「韓国人はつらい仕事をしたがらない。月150万ウォンを稼げるなら、どんな仕事でも嫌がる理由がない」とのこと。

ただ、中国人の就業が許可された後、建設・飲食・宿泊業を中心として韓国人の日雇い職が継続して減ったという指摘もあるため、韓国政府は韓国人の就職に影響を与えない範囲で、外国人労働者の数を毎年調整しているため、2004年から毎年10万人前後が入って来ていた外国人労働者数は2008年の金融危機以降、年に3〜4万人にまで減ったということです。

一方、日本の場合、どんな在留資格をもって「外国人労働者」と定義すればいいのかが、かなり曖昧なのですが、法務省による外国人登録者数ではなく、厚労省の「外国人雇用状況」を見ると、2010年10月末現在で64万9982人となっていて、前年度比15.5%という伸びを見せています。外国人労働者雇用の事業所数は10万8760か所、前年度比14.1%増です。国別では、中国44%、ブラジル17.9%、フィリピン9.5%などとなっています。

厚労省の数字は雇用している側から届け出られた人数で、法務省外国人登録統計の213万人という数字は、外国人登録をした人の数字で、213万人中65万人が雇用されているということになるかどうかは定かではありません。例えば、「特別永住者」の雇用については届け出の対象にはなっていません。

ただ、こうしたことを勘案しても、相当数の日本国籍を有しない人たちが日本でも仕事をしていることは確かです。

しかし、日韓のそれぞれの自国民の人口は、韓国4858万人に対し、日本1億2805.6万人(どちらも2010年の数字)ですから、赤ちゃんからお年寄りまでの総人口で乱暴に比較してしまうと、外国人労働者数:自国民人口は、韓国1.46%、日本0.51%となり、たしかに、韓国の外国人労働者の比率は高いことが分かります。

韓国は国の政策として、海外から労働力を入れ、また、その人数をコントロールしています。日本の場合、議論も政策も現実から遅れて、すべてが後手後手に回っている印象は拭えず、すでに始まっている労働人口の減をどう考えるか、政策的には明確なものも示されないまま、ずるずると来ている気がするのです。いったい、誰が、このイニシアチブを取っていくのでしょうか。

そしてこれは、外国人労働者政策だけでなく、国際教育交流政策にも言えることなのです。震災の後、「30万人計画」は、まだ生きているのでしょうか……。

*1:「コリアン・ドリーム」外国人労働者70万人時代到来(2011年08月30日16時01分 中央日報日本語版)http://japanese.joins.com/article/324/143324.html?servcode=400§code=400