「クール・ジャパン」と観光客・留学生受け入れのための広報の強化


野田新内閣の組閣も終わり、再び震災復興へも動き出すときが来たようです。

このブログでも何度か書いてきたように、震災復興にからめて、その復興を早めるためにも、これまでの日本の対外広報も、より強化する必要があるのと、世界の若者に現実に日本に触れる機会を提供する必要があります。

日本語教育や日本留学の振興に関しては、海外における広報を、一段と充実しつつ、また、「クール・ジャパン」の側面からのPR戦略も進め、そして、日本留学への「入口」である海外での日本語教育についても拡充するよう努めるべきではないでしょうか。

さらに、以前、ここで提案したような、「スタディー・ツーリズム」のようなプログラムを少なくとも5年間くらいは継続できるように財政的支援もする必要があります。*1

その実現の障害となっていることはいくつかあるのですが、まず、所管官庁がてんでんバラバラで効率が極めて悪いことを何とかするのが先決でしょう。

海外での日本語教育は外務省・国際交流基金、日本国内では文科省文化庁、といった同じ日本語教育についてすら、連携のなさは何十年も変わっていませんし、留学生受け入れは外務省の協力を得ながらも文科省・JASSO、海外での「クール・ジャパン」戦略は経産省、日本観光振興については国交省観光庁……。

これらを、「日本のソフト・パワー戦略」として一つにまとめて、ワンストップ・サービス体制にしないと、総体的に弱体化著しい日本の海外広報は、ますますその影が薄くなっていくことでしょう。

震災復興で、インフラの整備は、生活者である地域の人たちのためにも、地域の産業の復興のためにも、また、日本全体のためにも当然のことながら、極めて大切です。

しかし、それには必ず、きちんとした理念の裏付けが、今は求められています。かつて、日本列島をブルドーザーで平らにしてしまおうとした愚かで滑稽な計画には、物理的な利便性と経済的な利潤追求ばかりが目立ち、日本をそこに住む人間にとっての理想の社会に近づけようという理念は、残念ながら見出せませんでした。

今回の震災復興では、同じ誤謬を繰り返してはならないと考えます。

より便利で住みやすい社会の実現のためには、道路や橋や建物を建設することは大切に決まっています。しかし、そのインフラを支えるヒトの育成にも同様に力と資金を注がなければならないのです。再び、「土建屋国家」と揶揄されないためにも、私たちは、インフラ整備には、必ずソフト面での整備が車の両輪のように組み合わさっていなければ無意味である、あるいは、むしろ有害のこともある、という認識を改めて強めたいと考えます。

*上の写真は、ベトナムホーチミン市の化粧品店の店頭にディスプレイされた韓流スター、キム・ヒョンジュンを使った広告。ベトナムでの韓国のソフト・パワーは、テレビ番組を始め、日本の文化広報戦略よりはるかによく機能している。

*1:スタディー・ツーリズム」は、どうだろうか? http://d.hatena.ne.jp/keishu48/20110629/1309329847