留学生は、どれだけ日本に残り就職するのだろうか?

震災後、多くの留学生が一時的に帰国してしまい、戻って来るか心配させられましたが、ほとんどは日本の大学や学校に戻ったようです。学業途中だったのならば、ともかく卒業・修了までは、という気持ちがあったのは事実でしょう。

では、卒業・修了後の就職についてはどうでしょうか。

従来のいくつかの調査によると、日本に学ぶ留学生の6〜7割は日本での就職を希望し、実際には4人に1人程度が就職しているというデータが出ています。

震災の後、(株)毎日コミュニケーションズ(10月から「(株)マイナビ」に社名変更予定)*1 が4月中〜下旬に行った調査によると、出身国・地域別では、韓国は48.3%、台湾は33.3%が一旦帰国したが、すでに日本に戻っていて、中国は西日本に占める割合が78.6%と圧倒的に高いため一概に言い切れないが、78.5%が震災の前後とも帰国していない、との数字があります。

また、ほぼ全員が卒業する予定であり、就職意思については「もともと日本で就職するつもりだったし、今後も日本で就職したい」が全体で90%を超えたということです。

また「もともと日本以外で就職するつもりだったが、今後は日本で就職したい」という学生が東日本では全体よりも高い8.3%いて、自由記述の内容などを参照すると、震災の結果、日本の良さが再認識できた、覚悟が固まったという学生も一定数いると思われると毎日コミュニケーションズでは見ています。

今後の日本への留学生の増減予測では全体で44.1%が、東日本では51.9%が「今後日本への留学生は減ると思う」と回答し、その理由としては中国・韓国を中心に「親・家族の意見」や「出身国での報道」といった今回の震災に関連する回答と、「不況・円高の影響」や「留学支援制度の変更」といった回答に大別されたそうです。

ただ、この調査結果は、もともと日本での就職を希望する、あるいは、就職に関心のある留学生で、同社の就職情報サイトに登録をしていた留学生の回答によっているため、客観的な実態を把握するには、割り引いて考えないといけないのかも知れません。

いずれにしても、各国・地域での日本留学についての広報、日本語学習、大学等高等教育機関への進学、就職…といった一連の流れをよりスムーズにするために、所管官庁、機関、セクターは連携を強めるべきときです。

それについて、どこかが音頭を取らなければなりません。

調査の詳細 http://saponet.mynavi.jp/enq_gakusei/data/enq_gakusei_20110510.pdf