「クール・ジャパン」の応用問題−2900億円産業をさらに育てるには−2/4

昨日の続きです。

「クールジャパン」のコンセプトで日本留学を考えると、どうなるかを検討中です。

昨日、ショートカットを付けた経産省の資料では、日本のこれまでの文化産業の問題点は、「全体コンセプト」が曖昧、「分野間連携」が不足、「ビジョンと実行をつなぐ戦略」が不在という指摘があります。(同資料P.20)

思わず苦笑いしてしまうほど、今日の日本の国際教育交流は、これと相似形を描いているのではないでしょうか。

「全体コンセプト/インテグレーションの不足」、「ビジョンと実行案をつなぐ“戦略”の不在」という点が挙げられています。前者には、「カテゴリーをくくる全体コンセプトの不明確さ」「カテゴリー間での連携/シナジー創出の薄さ」「カテゴリー横断で支援できる共通プラットフォームの弱さ」が指摘され、後者には、「ビジョンは存在するが不明確でレベル感もあいまい」「執行とビジョンとの関係が不明確」「結果として、施策・イベントも表面的・散発的なものになりがちで、成功要因の充足に至らない」との説明が加えられています。

実情をご存知の向きには、本当に気持ち悪いほどに問題点が似ていると思えるはずです。まるで、日本人なら何をやってもワンパターンだということの証明ででもあるかのようです。

長くなるので、国際教育交流分野でのポイントだけ記します。

「全体コンセプトやインテグレーションの不足」には、(1)《なぜ、留学生を受け入れるのか/送り出すのか》といった基本理念が、社会的あるいは国民的にきちんと認識されていないままで曖昧である。(2)省庁縦割りやセクター間の連携のなさは旧態依然で、日本社会において、あるいは、世界において力を発揮できないでいる。(3)したがって、国際教育交流分野のプラットフォームは形成されているとは言えない。以上のように、そのまま言い換えることができてしまいます。

「ビジョンと実行案をつなぐ“戦略”の不在」には、(1)留学生30万人計画などは掲げられているが内容的には不明確で曖昧。(2)政策は掲げられているが、現場での実行プランとの関係が不明確。(3)結果として、「G30」や「アジア人財資金構想」などの施策も表面的・散発的なものになりがちで、成功要因の充足に至らない」といった形でそっくり当てはまるのです。

誤解していただきたくないのは、ここで、こうしたことを記すのは、関係者を落ち込ませるためではなく、上のような指摘を真面目に受け止め、その逆を実行できるように工夫して努めれば、十分に光は射してくる可能性があるということを主張したいからです。

日本の教育は決して悪くはないと信じます。ただ、それをどうこれからの世界に生かせるかについて、少し知恵を絞る必要があるのだと考えます。

「クールジャパン」との関連で、もう少し続きます。