ASEANの元日本留学生たちとの絆が切れようとしている?

ASEAN各国には、1977年にスタートした元日本留学生会ASCOJA(ASEAN元日本留学生評議会)が組織されていて、元日本留学生同士の交流や日本の各界との交流を行ってきました。

これは、1974年に開始された外務省の「東南アジア元日本留学者の集い」が発端となったものです。「集い」は、福田赳夫蔵相(当時)が呼びかけて開始された事業で、その発展型として、日本との交流はもとより、アセアン域内での連携も強めようというのが趣旨です。

日本側のカウンターパートとして、当初は、外務省・文部省共管の(財)アジア留学生協力会が設立され支援策を行っていましたが、途中、運営上の問題があり、今日では、外務省所管のASJAインターナショナル*1という組織がその日本側の支援組織となっています。

ASCOJAの参加国は、現在、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイミャンマーカンボジアベトナムの計9か国で、日本留学を経験した人たちの組織が各国にあり、そのリーダーたちは、その国で各界をリードしているだけでなく、日本との太いパイプ役を務めている人たちが大半です。

ところが、そのASJAの予算が次第に削減され、そのASEAN諸国からの留学生受け入れ事業は終了しようとしています。

ASEAN各国におけるASCOJAに対する支援は、どうなっているのか、外務省予算のなかの帰国留学生支援予算の詳細を見ないと分かりませんが、少なくとも当初予算額で4年前の6割ほどに減って、5900万円になっているようです。*2

別のデータ*3を見ると海外の帰国留学生会組織は341組織あるそうですから、支援のための当初予算額5900万円は、いかに少額な予算であるか分かります。

さて、こんなお粗末なことで、日本をよく理解し、日本に友人を持ち、ときには日本の代弁者となってくれる人たちとの絆を危うくしていっていいのでしょうか。私は、たいへんに危惧せざるを得ないのです。

とりあえず、関係者はこのことをもっと声を大にしてあちこちに知らせるべきかと思います。