秋入学にすれば大学が国際化するという勘違い

あえて苦言を呈したいと思います。

東大が秋入学を検討し始めた途端に、あちこちの大学が同じようなことを言い始めました。

秋入学にすれば大学は国際化するのでしょうか。時期だけずらせても何の意味もないことは誰にでも分かると思うのですが。

日本人学生が海外に留学するのにも、海外から留学生を受け入れるのにも、秋入学のほうが学生にとって時間的な無駄がない、というのも大きな理由のようです。

しかし、考えてみてください。日本人が海外に留学するのに、4月に学年が開始されない国を敬遠しますか。留学するのに魅力があれば、半年くらい待つのは、どうということはないでしょうし、むしろ、その半年を留学準備に使うのではないでしょうか。

同様に、海外から日本に留学する人にとっては、半年は準備期間として使えるので、とくに困らないはずです。もし、仮に日本留学が十分に魅力あるものであるのなら、の話ですが。

したがって、「大学の国際化のために」秋入学にする、という論議は本末転倒であって、大学が国際化に対応できる内実を具えることが優先されなければならないのです。

その多くの要素の中で、秋入学を検討するのなら、それはそれで、もちろん理解できます。

というか、私は、入学時期に関して言えば、秋入学に変更するのではなく、年に3〜4回は入学できる体制に変えて、柔軟に対応すべきだと考えています。

もちろん、秋入学に変更するより、大学にとっては負担が大きいことは分かりますが、入学時期一つ取っても、それくらいの覚悟で大学を改革していかないと、諸外国・地域の大学と競争していくことはできないのではないでしょうか。